『ダークナイト ライジング』ネタバレ感想:本当に、壮絶に、終わったwww

ネタバレ全開なので本編未見の方はご注意を。
今作の場合大まかな展開バレを目にしたところで大したマイナスにはならないと思いますが、他人の感想で先入観を持ってしまうと痛いかもしれません。
というわけで以下、本編観ているのを前提で。
 

追記その1(7月29日)
本編を再度観て、初見では気づけなかった/見落としていた部分について書きました。このエントリの後に良ければそちらも合わせて読んでもらえれば…。
『ダークナイト ライジング』ネタバレ感想(その2):「RISES」の名に偽りなし! - さめたパスタとぬるいコーラ

追記その2(8月8日)
オキュパイ・ウォール・ストリートを匂わす場面について上手く書けてなかったので、書き直しました。
『ダークナイトライジング』感想:ベインの「革命」描写が雑な理由 - さめたパスタとぬるいコーラ

 

事前に聞いていた情報からは「ベインは“オキュパイ・ウォールストリート”を象徴するキャラ」→「それを否定するバットマン」→「保守的な内容!」ってイメージだったんですが、案外実際はそこまで安直な描きには感じませんでした。というのも、ベインの行動理由に一捻りあったからです。
ベインは実はそもそも「オキュパイ・ウォールストリート」だとか「革命」みたいなものを全然信じていなかったんですね。自らのカリスマ性を利用して、シンパの力を借りて「かりそめの革命」を起こし、それを盛大に失敗させて、「そうした革命」では世の中良い方には変わらないんですよ〜(・∀・)ニヤニヤ
と、世界中に見せつけるのが目的。元々金持ちに露骨に反感を持っていて、しきりに「嵐がくるぜー!ヒャッハー!」とノリノリだったセリーナ・カイルが、ベインが起こした「革命」の結果を見て「こんなはずじゃなかったのに(´・ω・`)」と洩らすシーンは、そうしたベインの目論見がわりと上手くいっていた事を証明するものだったと思います。
ラーズ・アル・グールの考えでは、「繁栄し尽くした都市は最終的に腐敗しはじめるので、そうなったらとにかく一回滅ぼしてしまうべきなのだー!」みたいな感じだったと思います。ベインも完全に同じで、「一端腐敗しはじめたらどう足掻いた所で駄目だから、一端リセットかけましょう^^」というもの。なので、「デント法=既存政治システムの腐敗」を力説しますし、あえて引き起こす「革命」も街を目に見えて駄目にさせる。その際明らかに「退廃した共産圏」っぽい描写になっていて、資本主義社会を180度ひっくり返してもホラこの通り、駄目なままでした〜(・∀・)ニヤニヤ
とこれみよがし。性格が悪い!w とにかくゴッサムを爆弾で消し飛ばすことの正当性を証明することに全力投球なわけですね。
こうしたベインの陰謀めいた計画に対し、肝心のバットマンにどういったフレッシュな対案なりイデオロギーがあるかというと…特にそんなものはないっぽいという!w
映画としてはどうも「希望を持つこと」は肯定しているんですが(ウェインがロッククライミングをするシーンの「バサラバサラデシデシ!」や、核爆発直前にバス内に子供達を避難させるシーン等から)。希望の拠り所となるのが結局の所「バットマン」というのが、「ヒーローモノ」というジャンルとして直球ど真ん中を投げられた感はありますね。『真の「バットマン」はみんなの心の中にいるんだよ!』というのが精一杯のひねりだったのかも。
  

■以下、個人的に感じたツッコミどころ&爆笑ポイント
・ベインが影の同盟から破門された理由がまさかの「顔が気に食わなかった」から!ラーズ・アル・グール「お前の顔見てると嫌な記憶が蘇ってくるんだわーwごめんなーww」
 
・ベイン、実は地下監獄から脱獄したことはなかった!「え?ウェイン君あれ昇ったってマジ?」
 
・ベインは片思いの相手=タリアをウェインに寝取られていた!かく言う私も童貞でね!
 
・ベイン、タリアに振られた腹いせに命令を無視してウェインを殺そうとする…も、あっさりセリーナのバットポッドでぶっ殺される。
 
・警察副本部長「うおおおおおおお!!!!」→タリア「ヒャッハー皆殺しだぁーっ!!」→あっさりぶっ殺される警察副本部長。
 
・タリアが死ぬシーンの三文芝居っぷり。
 
・「橋が落ちてしまった!なんてことをしてくれる!」→神父「輪になって祈ろう(即断)」お前諦めるの早すぎだろ!
・「諦めるな!バスに乗ろう!」→神父「核爆発だし意味ないだろw(正論)」→「希望が必要なんだ!」→映画『スピード』みたいなバスジャンプかまして大脱出を試みるのかと思いきや…本当にバス内に避難しただけ(笑)。
追記→この辺は確かに一見笑えるんだけど、本当はウェイン→ブレイクへの「ヒーロー継承譚」として超重要なシーンだったんですね。二回目の鑑賞で痛感しました。絶望的な状況であっても「世界の終わりではない」と言って、震える子供を勇気づけれるようでなければバットマンたる資格は無いんですね。
 
なんと言ってもバットマン決死の海上カミカゼ・アタック!ザ・バットに爆弾くくりつけてる段階で笑いをこらえるのに必死でしたが、実際に爆発してきのこ雲が上がったら堪えきれなくなりました、ごめんなさい。周りにはすすり泣く人もいたけど。ごめんなさい。
 
・都市近郊の海上で核爆発が起こったのに無邪気に喜ぶ人々の描写が狂ってて良いですね。
 
・笑いをこらえるのに必死過ぎて、「自動操縦システムのプログラムが書き換えられた形跡が(云々」の部分がちゃんと見れませんでした。近日中にもう一度観てきます。オチに関わる超重要シーンを見落とすとかwww

 
上映が終わってから、すぐ近くの2人組が顔を見合わせながら「いや…どうなんだろう?」と微妙な空気を醸しだしていましたが…
「Why so serious?」
前作が大傑作だったからとかそんなの関係ない!笑えるところは素直に笑えば良いんだよ!
 
ベインが証券取引所を襲うシーン、証券取引所から脱出するシーン、街を爆破してまわるシーンはもう最高でした。さながら怪獣映画。街を破壊してまわるという背徳的な快感に溢れていて。バットマンが警察に囲まれて脱出するシーンも壮観だったし。(第一段階)
バットマンVSベインの肉弾戦も熱かった!「やっぱ筋肉だよ筋肉!」と言わんばかりの殴り合い。脱獄する際も筋トレ&根性論!シンプルイズベスト!(第二段階)
この上なく上がりに上がったベインの格が急降下。ラスボスがテイト(笑)。核爆(笑)。生還(笑)。(第三段階)
このように、一度で三度美味しい素晴らしい映画でした。個人的には凄く良かったですよ、本当に。これから批評家とかからはボロクソに叩かれるんだろうけどね!wwww
しかしですよ、『ビキンズ』や『ダークナイト』の縮小再生産になる可能性も十分あったはずなのに、それを見事に回避しただけでも『ライジング』は合格ですよ。そのためには「何がはじまるんです?」「第三次大戦だ!」的エンタメがちょっとくらいあったって良いじゃない!…「ちょっと」どころじゃなかったけどさ!