1年かけて庵野秀明監督作品をほぼ全部観た記録

 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を最高のコンディションで迎えるため、「庵野監督作品をなるべく全て見る」という儀式をやり遂げたので、これはその記録です。

 

 『ふしぎの海のナディア』を2020年2月7日に観はじめて、 2021年1月12日に劇場鑑賞した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 3.333』で完走。もともと2020年夏の公開に合わせて観始めましたが、公開延期により鑑賞ペースが鈍化。結果的に殆どの作品を12月〜1月に集中的に観ることとなりました。ちなみに全部で約65時間。3日で観れるので頑張ればまだ間に合います。

 「庵野さんが監督とクレジットされている商業の長編orシリーズ作品はとりあえず全部見る」というマイルール*1。元がツイート=個人的なメモなのでとっ散らかってますが、せっかくなのでこちらに残しておきます。

 基本的に観た順番ではなく、作品の公開順に並べています。

 

トップをねらえ

 ・ほぼ徹夜明けなのに寝る暇なかった。トップの絶叫必殺技と田中公平サウンド、劇場で浴びるの絶対に健康に良い。(2020年11月29日) 

 

 ・上映終わるなり「おもしれぇー」「ユング良い…」「トップ2見たくなった」「別物じゃん」「いやあれはあれで」「タシロ艦長良い」「わかる。副長も良い」「わかる」といった会話がそこら中から聞こえてくるあたたかい空間だった。

 「(『トップ2』は)別物じゃん」という声に「戦争か……?」と緊張が走ったけど、即座に隣にいた人が反論していたので生暖かい目モードになりました。嘘。反論が生ぬるかったので、「加勢しましょうか??」という第一種戦闘態勢のまま劇場を出た(2020年11月29日:1/2/3

・トップは1〜3話も見返すたびに良さがあるんだけど、やはり4話からのギアチェンジが凄まじすぎるのだよな。平行してナディア見てたので比較に出しちゃうんだけど、少なくとも最近見た1〜10話は「ずっと庵野さんの編集!」というのが続いて、ひたすら至福なんですよね。トップでその方向の快楽で突き抜け始めるのは4話から。(11月29日:1/2) 

 

ふしぎの海のナディア

 ・タイムリミットが差し迫っていることですし、今日から『ナディア』見返していきます。(2020年2月7日

・努めて明るい1話でやっぱり楽しいですね。ジャンが一輪バイクに誘うときとかは既に不穏な間を醸し出しながらの会話だったりするのもまた楽しい。(2月7日

・2話。エスカレーターが壊れて「もう、インチキな発明ね。感心して損しちゃった…」→「すっごーい!」(この間0.1秒)のとこ笑う。物語を駆動させる都合上ジャンがはつらつさを求められる一方で、ナディアが屈折した感じなの面白い。(2月7日

・グランディスさんの「ブルーウォーターだ!」からの間髪入れずにメイビル艦長のセリフに繋ぐとこ、最高に庵野フィルムで最高(なお3話は摩砂雪さんコンテ演出回)

 ・エレクトラ「なかなかしっかりした子供たちのようですね」 ネモ「私は子供は嫌いだ」 エレクトラ「人間全部、お嫌いのくせに」 ナディア「私は大人は嫌いよ」 ジャン「僕は嫌いな人っていないんだ」(2月18日

・『ナディア』5話、松原さん作監回。冒頭で飛行機が島に墜落する一連から躍動感があり、その後のキャラの芝居も肉感的で新鮮。そしてマリーの初登場。シリーズでも随一の「死」を感じさせるエピソードなので、生き生きとした作画と動かなくなったマリーの両親と愛犬の対比がシビアに刺さる。(10月3日

・6話。相変わらず非人道的で楽しげなネオアトラン組。人の死を冷徹に描いたと思えば、突然ギャグ調(しかし死と隣合わせ)な溶鉱炉ダッシュが挟まってきたり。この辺であらためて、このアニメちょっと変なのでは……? という疑惑が深まってくる。ドライブ感が出てるともいう。(10月3日

・7話。完全に清川元夢劇場。バベルの塔起動シークエンスはヤシマ作戦の雛形感ある。悪の兵器的ポジションなのに発射までのワクワク感ありすぎて最高。基地やメカメカしい機材など全体的に美術がとても好み。(10月5日

・12話。トップでも人の生きる意味についてとか大きな話をしていたりするんだけど、ナディアはNHKの連続ものということもあり「大人/子供とは」とか、ジェンダーロールとかについてもう少し踏み込んで語ろうとしているふしがあり

 ナディアは「グランディスさんて意外と女らしかったのね」「そりゃないだろ。これでもお嬢様育ちなんだよ。あんたも飛んだり跳ねたりする他に覚えなきゃね」「私ぶきっちょですから」というやりとりを経て、グランディスの初恋&身の上話に耳を傾け他人と少し親交を深められた……と思った矢先に狩りで子鹿の死体を持ち帰ったジャンらにショックを受けて、走り去る。

「誰も 誰も私のことなんて分かってくれないんだわ。嫌、こっちへ来ないであっちへ行って。ずっといままで一人で生きてきたんだからこれからだって一人で生きていけるわ」「ごめん、ごめんねキング。私、ほんとは寂しいの」

 とエヴァ後半のアスカに通づる引き裂かれた思いを吐露する。その断絶の深刻さに反して、作中の他キャラからは「分かんねーな女の子って」「うん」で切り捨てられてしまう。

 「描く“べき”規範」としての大人像やジェンダー像に作り手自身が齟齬を抱えていて、そのきしみが12話にして早くも噴出している。

 キングを感情的に払い除けたあとに追いかけて胸中をこぼす流れ、ペンペンにかまってもらおうとして「寂しかったのは私のほうね」って気付くシーン思い出すな。水着回えコミカルなギャグをやっていたところから突然生っぽい感情をぶつけてくる落差が激しい。(11月30日:1/2/3/4/5

・ナディア13〜15話見。「走れ!マリー」はサンソンの活躍も含めて作中屈指の走り回る回で楽しいな〜〜とか油断していると最後に殺傷沙汰の重たい空気で終わるんだよな……。12〜15話はフェイトさんの死をピークとして、ジャンとナディア双方にとって受け入れ難い世の不条理がこれでもかと続くという。(12月21日

・16話。庵野フィルム〜〜〜!前半の止め絵主体の心象描写から、後半の前田さんごりごりな滅亡したアトランティス文明のビジュアル。そんなダウナーな話をたっぷりとやった後が「それはそれ、これはこれ」が飛び出す終始アッパーな17話という。ここがひとつターニングポイントかな。(12月24日

 ・今更気付いたえど20話のネオアトランティスの作戦室、シルエットがロゴマークの目玉っぽくなってるのか(12月27日

 ・20話でネオアトラン組がノーチラス号の索敵用会議をする中で、時間をスキップして、次の瞬間にはもう自陣の艦が撃沈されてるってコミカルな描写、シン・ゴジラ冒頭の会議でやった「以外 中略」の原型っぽさがある(12月7日

ナディア21話、あまりにも面白すぎる… 分かっていてもネモの「やるぞ 副長!」からの「万能潜水艦N・ノーチラス号」でスタンディングオベーションしてしまうのだよな。ナディアリアタイ勢だったらヴンダー大好きになってた可能性がある。

  いや「万能潜水艦N・ノーチラス号」→「バベルの光」→「悪の三人組」で劇伴の使い方うますぎて昇天するな……。「悪の三人組」とか単体で聴くとコミカルな曲なのに、これほど格好良く演出できてしまうの天才の所業でしかない。

  清川元夢大塚明夫のセリフ量が増えれば増えただけ面白くなるという指標があるので、2人の会話があるというだけで面白さが確約されてしまっている。「ネモくん、これが私からの地獄への招待状だ。受け取ってくれたまえ」とかベタすぎる台詞なのに、ガー様が口にすると地獄への招待状だ!!!!って嬉しくなっちゃうもんな。(12月27日:1/2/3/4/5

・22話。エレクトラさんが突然最高キャラとして本性むき出しになるのやっぱり最高だな。21話でも微妙に予兆は見せてるんだけど、グランディスを挟んだラブコメギャグやってたところからこれだけの振り幅を見せてくるとは普通思わない(12月27日

・島編、話を持たせる苦肉の策としてナディアの菜食主義的側面にスポットを当てた押し問答が続くけど、彼女の頑なさへのカウンターとして「わがまま」「好き嫌いだ」といった、今見るとベジタリアンヴィーガン的な考えに対して無理解すぎる言葉が並べ立てられるので、 当時肉を積極的に食べないというだけでいかに肩身が狭かったかが間接的に伝わってくる。まあナディアがわがままで偏屈であるのは間違いないわけだが……。

 肉を食わないナディアを「わがまま」と断じるジャンの無理解ぶりも苦しいし、ナディアが肉食を外道と糾弾しまくるのも完全に行き過ぎていて、徹頭徹尾発狂した話だなあという印象を受けるのだよな。(12月27日:1/2/3

・25話、ナディアが悪夢にうなされた後に自分が昔から他人の助けによって生かされていたと気付く筋書きなのに、昔他人に助けられたエピソードが特に描かれないので感情がつながって見えないんだよな。落下使徒戦後のアスカの心理描写はここのリベンジのようでもある。(12月28日
・35話。島編、アフリカ編と乗り越えた先に、失われて久しかった庵野フィルムとしての熱量がとにかく“編集”によって帰ってきたのだと一瞬で分からせにきくるので感極まってしまうな。

 お話的には「自分なんて大嫌い」と内面をさらけ出すナディアと、そのまま誕生日発覚→おめでとう→ありがとうの流れはエヴァ原型という感もあるんだよなあ。サンソンが「悲劇のヒロイン」ぶりに同情的に振る舞うのを良しとせず、最後「おめでとう」のシーンまでぶっきらぼうなのが細やかでとても良い。

ナ「ジャンはどうして生きていけるの?」
ジ「どうしてって。僕は今生きてるもん。生きてたら、明日があるから。ブルーウォーターの秘密がなんだろうと、アトランティスとどんな関係があっても、ナディアはナディアだよ。例え地球の人じゃなくったって、それで良いじゃないか」
ジャン、菩薩か何かか?(12月31日:1/2/3

・最高最高最高のアニメ(12月31日

・エピローグはマリーとサンソンの件が衝撃すぎて見過ごされがちだけど、マリーが投げた飛行機がそのままエンディングにつながるのあまりにも美しいんだよな……。(12月31日21時38分

・劇伴の「万能潜水艦N・ノーチラス号」は21話、36話でかなり印象的な使い方をしていたけど、特に『Q』っぽい使い方だったのは37話だったなというメモ。「バベルの光」もよく使われていたけど、宇宙でかかるという意味では38話。(2021年1月1日

・最終話にも次回予告枠のナレーションと投稿イラストの紹介コーナーが入っていて、それによると全話合計で10万2318通のイラストやはがきの応募があったとのこと。1話平均で2600通以上届いてた計算になるしすごい。最終話ラストで庵野さんっぽいイラストがチョイスされていて良かった。(1月1日*2

  

新世紀エヴァンゲリオン

・『エヴァ』テレビ版1話。『序』を見返したばかりなので、劇伴が少なくて静寂を大切にした印象を受けるな。ゲンドウの芝居の方向性が定まってない感じがあるけど、チンピラ的な性格の悪さが醸し出されるこのころの声も好き。(2021年1月1日

・逆にテレビ版にあって『序』でオミットされた箇所だと、冒頭でミサトがスーツと車がボロボロになり嘆くモノローグが気になった。トータルの作品トーンから浮くため新劇ではカットされたけど、ミサトの内面を最初に披露して彼女がもう一人の主人公であると印象付ける意図もあったのかなと。(1月1日

・『ナディア』から続けざまに見ているので、今作が良くも悪くも「真っ当で健全な話」をやる気皆無っぽいなという印象を1〜2話の時点で受ける。シンジとゲンドウの関係性(エレベーターの場面はやはり異常)や、ミサトの心情描写(シンジに無茶な要求をして勝手に反省したりしてる)あたりが顕著。(1月1日

 ・「我慢なさい男の子でしょ」のような台詞は((結果的に当時の生き辛さを端的に表していると感じるが。『ナディア』ではまさに「男/女はこう生きるべき」という規範を繰り返し強調していて、『エヴァ』1話時点ではそのモードを引きずってるようにも見えるんだけど、それがまさに物語を破綻に導いていくというか。(1月1日

・生き辛さが率直に苦痛なので逃げ出したい気持ちと、生き辛さに蓋をして自分を偽ってでも他者に承認されたい相反する感情の摩擦の渦にはまり込んでいく話なので、1話時点である程度地獄への道筋ができているのだな……(それでも普通ならもう少しうまい折衷点に落ち着くのだが……)(1月1日

・2話のトリッキーな構成は何度見てもはっとさせられる。新劇で時系列通りに処理したのは真っ当だったけど、やはりテレビ版にしかない快があったのだと再確認できる。あと試しにOculus Quest 2で横になって見ていたので、天井を向いた状態で「知らない天井だ」という台詞を聞くのは不思議な感じがした。(1月1日

・5話。ゲンドウがめちゃくちゃ狼狽しながらレイの元に駆け寄るところ、リツコの「(まじかよ……)」って表情が何度見ても良いんだよな。やはり私よりあのガキの方が好きでは?というショックがじわじわ伝わってくる。あとこの強化ガラスが薄すぎていつも零号機に殴られるときに不安になる。(1月3日

綾波について軽く質問されただけなのに「良い子よとても あなたのお父さんに似てとても不器用だけど」って息をするようにキメ顔ゲンドウ語りを始めちゃうリッちゃんさん…(1月3日

甚目喜一とかいう謎のコンテマンあまりにもうますぎる…(1月3日

・その後の作風を決定付けたのはやはり「ゼーレ、魂の座」→「死に至る病、そして」あたりだよなあ。そして鶴巻さんがコンテ演出両方やってるの地味に「死に至る病、そして」だけなんだな(というかそもそもエヴァではコンテ演出が共通する回が少ない。他では19話の摩砂雪回、13話、18話の岡村天斎回だけ(1月4日

・ところでQの「槍でやり直す」が展開として間抜けという感想は変わらないけど、それはそれとして、TV版の時点でシャムシエル戦の「撤退よ!」→突撃して叱られる/レリエル戦「戦いは男の仕事!」→調子に乗って精神攻撃受ける……等、かなり直情型で合理的でない行動を繰り返す性格ではあったのだよな(1月4日

・16話はマッキーコンテに長谷川さんの丸みのあるデフォルメがハマってるんだよな~。同じ長谷川さんの「瞬間、心、重ねて」のときとは手触りが明らかに違う。(1月4日

・このへんはマヤリツに詳しい人に1万字ぐらいの論文書いてもらいたい

  

・「命の選択を」、トウジが乗っていると知らないまま、相手を殺すくらいなら自ら死んだほうが良いと望むシンジ。アスカが乗ってると知っている『破』以上に唐突に映るシーンだけど、ナディアの死生観を通過しているとおなじみのやつが来たなとすんなり見られる。

 「プラグを物理的に抜く」という解決策がまず浮かぶし、普通のアニメなら「○○との理由でプラグが触れない」みたいな予防線貼りそうなのに。TV版・新劇場版共にセリフで示唆すらしないのだよな。それがシーン全体の不条理さを増す効果につながってるけど、狙ってのものなのかどうかがよくわからない。(1月4日:1/2

・暴走初号機のツノがゼルエルの目に刺さるシーンに目が行きがちだけど、その前にみよーんと伸びたゼルエルの腕が初号機コアを繰り返し攻撃するカットでコンテに「ここ、ストレートに強姦のイメージあり〼」とあるんだよな。奥ゆかしいメタファー…(1月4日

・『新世紀エヴァンゲリオン』21話(OA版)→21話(ビデオフォーマット版)→22話(OA版)→22話(ビデオフォーマット版)→23話(OA版)→23話(ビデオフォーマット版)→24話(OA版)→24話(ビデオフォーマット版)を連続で見ると頭がおかしくなることが分かりました(知ってた)(1月6日

・21話~24話。OA版とビデオフォーマット版を連続で一気見したのは約15年ぶり。ビデオ版の追加シーンは本編の邪魔にならない塩梅でうまくキャラクターを掘り下げていて職人芸を感じる。『DEATH』から流用があるので当然とはいえ、アスカの描写とかはキレてるので、安牌を切ってる印象もあまり受けない。

 「せめて、人間らしく」「涙」「最後のシ者」は本編の駆け足な感じが顕著で、特に「最後のシ者」は後半に行くにつれカットのキレ味すごすぎて脳汁が出る。やばいフィルムを見るという意味では基本OA版に分があるのだが、それを踏まえても22話はビデオ版のアスカの追い詰め方がエグくてすごい。(1月6日:1/2

・再見して思ったのは「男の戦い」以来、シンジの物語は完全に後退していったのだなと。作品単位でギスギスした雰囲気が加速し、アスカとミサトがボロボロになり、仲良しの綾波は死に、クラスメイトもいなくなって…と、外堀を埋めに埋め、トドメに親交を深めたカヲルを消すという、実に人の心がない構成。(1月6日

ベッドでシンジに手を伸ばすミサトについて

 23話でミサトがシンジの手に触れようとするシーン。ミサトがS-DATを超えてシンジの手に触れようとして、それを拒否されるという構図なんだな。あと「手に触れる」という意味では24話のカヲルが対になっていたのだと今更気付いた。  

 23話の演出意図としてはミサトの寂しさに重きを置いたもの、ということなんですよね。個人的には少なくともシンジは性的な誘惑と思っていないという解釈です(十代前半に見たときに単にミサトが鬱陶しいから手を引っ込めたと解釈したので、そのときの気持ちを大切にしている)。画像はテレビ版23話と、座談会は『スキゾ・エヴァンゲリオン』から。

 この「皆、“そう見る”とか言って、庵野さんはすぐ怒る」についてはやや解釈の余地が残っていると思うようになってきていて。

 ・(性的なニュアンスではないのに)そう見る
 ・(性的なニュアンスも含むが、主眼はミサトの寂しさであるのに)そう(性的な目線だけで)見る

実はどちらにも読めるなと。いずれにせよ庵野さんが何かしら視聴者の読解力や分かってもらえなさに苛立ちを抱えてるっぽいのは確か。

 あと摩砂雪さんの「あの時は、本当にそう思ってたのかもしれないね(笑)」の方も意図が掴みづらかったり。素直に読めば竹熊さんの知人に同意して、ミサトの寂しさに言及しているだけだけど。「ちょっかい出そうとした」ことに対して「そう思っていたのかも」と半分茶化しているように取れなくもない。

 『Q』でも23話のS-DATで隔てた2人の図は継承されているんだけど、こちらではむしろS-DATを通じて紡がれた絆を感じるし、そのS-DATを超えてシンジに触れるカヲル……という見方をするとまた違った感慨があったりするのかもしれない。まあ『Q』のカヲルはここで触れる前にピアノの連弾とかでさんざんイチャイチャした後なのだが……。

(1月3日:1/2/3/4・1月6日:1/2/3

・異常なアニメ…(1月7日

・リアタイ勢ではないのでこれをリアルタイムで浴びた人々の感情を想像することしかできない……。もしタイムマシンがあったら「最終話は普通のアニメになっているかもしれない」と一縷の望みを持っていた人がこれを見たときどうなったかを見に行きたい。(1月7日

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・21話以降はBDで鑑賞した。

  

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生

・最高にテンションぶち上がった途端に終わるので、本当に「嘘だろ……」という気持ちになるな。(1月7日

疲労困憊でボロボロなコンディションでこそ観るべき映画なんだよな。『DEATH』では夕焼けが朝日のように眩しく、大量のスタッフが並ぶクレジットでよく分からない涙が流れた。(1月7日

  

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Airまごころを、君に

 ・新世紀エヴァンゲリオン、完膚なきまでに完結していて笑う。あらゆる続編が無理だろ(1月12日

  

ラブ&ポップ

・映画『ラブ&ポップ』劇中で描かれる1日は1997年7月19日=『THE END OF EVANGELION』の封切り日であるという話

 あれだけ移ろいゆく90年代末の渋谷を撮影しているのに、今見てもほとんどノスタルジックな気持ちにならないのだよな。それは庵野さんがあの少女たちを通してひたすらに自分自身を描いているので、ノスタルジーの前に「庵野さんのフィルムを見ている」という感情が先に来るというか。

 『EOE』のわずか半年後にあんな正確な自己分析とその後への決意表明みたいな作品を撮っていたことに今更ながら衝撃を受けた。かなり原作に忠実に映画化しているのに、どこを切っても庵野作品になっているという。

 先日から村上龍の原作もひさびさに斜め読みしてたんだけど、裕美がビデオ店で手淫につきあわされる場面、原作だとわざわざ男の「大丈夫、コンドームしてるから、手、汚れないよ」って台詞まであるのに、映画だとそこだけ『EOE』仕様で手に精液がべったり付着する最低なシーンに改変してあり全く庵野作品は最高だなってなる。(2020年12月8日:1/2/3/4

 

映像特典『ドキュメント ラブ&ポップ 第0部「ラストシーン」/最終章「悪い夏」』について

 プロデューサーから「庵野が壊れるところを撮ってくれ」と依頼されたカンパニー松尾バクシーシ山下によるドキュメンタリー(一部モキュメンタリー気味)。BD BOX「庵野秀明 実写映画作品集 1998-2004」などで見られる。

 『EOE』初日と思しき日に劇場前のオタクの行列を撮影したりしていて貴重映像の宝庫。『ラブ&ポップ』自体が1997年7月19日(『EOE』の封切り日)に主人公が見る夢から始まるし、庵野さんがLCLの海から帰ってくるのに必要な作品だったんだろうなと感じさせる。

 エンディングシーンをどうするかで監督と南里Pで見解が分かれてるように見えるシーンもあるが、前後がぶつ切りなので情報は断片的。沖縄ロケでもやり取りが平行線になる場面がいくつかある。沖縄での撮影シーンはCMなどには使われたものの、本編のラストシーンではボツとなり、代わりに撮影されたのが渋谷川での長回し。あのすばらしいエンディングがここでの粘りのおかげだったのだなと、南里Pに感謝の念を抱いた。

 

・南里幸プロデューサーや株式会社シネバザールの存在はあまり意識したことがなかったが『EOE』の実写パートや『カレカノ』の実写エンディング、『GAMERA1999』『式日』『流星課長』『キューティーハニー』『監督失格』『シン・ゴジラ』と、庵野監督の実写作品を常に支え続けていたことを初めてちゃんと認識した。南里Pは現在「甘木モリオ」名義。

 

メモ:「コミュニケーションと拒絶が毎回僕のテーマですから。一番嫌なのが、見せかけのそういうのがあったように見せるというのだけはちょっと避けたいなあと。無いなら無い、あるならある。それは真実にしたいんですよねフィクションの世界では」と言いつつサッポロポテトバーベQ味を食べる庵野監督

メモ:キャストオーディションになぜか同席している『フリクリ』作る前の鶴巻監督

(1月14日:1・1月29日:1/2/3

  

彼氏彼女の事情

・今日からカレカノ1月7日

カレカノ序盤、猛烈に面白いけど猛烈に疲れる(1月8日

 ・6話。最高のアニメ~! EDがそれまで校内だったのに「雨でも晴れでも大丈夫!」で海へと飛び出すのがもう最高なんだよな。(1月8日:1/2

・9話で芝姫の化けの皮が剥がれるにつれて新谷さんが新谷さんになっていく流れが面白すぎるな(1月10日

・今石は神……(カレカノ10話Bパートを見た)(1月10日

・18話、やっぱり庵野作品のサトジュン回は最高。有馬の精神世界でねっとり1コマで腕をからみつける芝居入れてるのがまた良い。そしてサブタイの「シン・カ」が強い(1月10日:1/2/3

・うおーー、さ、佐伯昭志……!(※アニメ版の実質的な最終回である第24話のラストシーンを見て)(1月10日

・アニメ『カレカノ』初完走*3後半は前半ほどの過剰さがないけど、普通に強烈な今石回とかもありつつ、想像してたよりずっとちゃんと面白かったなー。小倉回、中山サトタツ回も独自色ギラギラだし、24話のOPへの入り方は完全に平伏してしまった。(1月11日

庵野さんの26話はとにかく漫画っぽい表現だとか問題作だとかいうふわっとした話しか耳にしてなかったので、いざ見てみたらいつも通り強いフィルムで殴打してくるだけだったので安心した。そして相変わらず清川元夢が好きすぎでは。(1月11日

・ずっと積んでたカレカノBD BOXのブックレット読んでるけど、松倉Pインタビューが地獄のように面白いな……庵野秀明とテレビ局に挟まれるの嫌すぎる……地獄……。アフターエヴァとして必読の何か……。(1月9日) 

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『GAMERA1999』

・時停止してこの人いま何してるんだろうとか調べ始めると一生終わらないので一時停止を封印しよう……(1月11日

・士気が高そうな現場と、監督陣やプロデューサー(先述の南里P)のモチベーションが噛み合ってないっぽい感じを恣意性しかないカメラと編集で見せていく、BGVとして一生流していたいタイプの作品。以前見た初見時にはヒゲのせいで南里Pと特撮助監督・神谷さんの見分けがあまり付いておらず、今回そこをきちんと認識しながら見れたので三割増しで楽しめた。(1月11日

・エンディング付近のテロップがバチクソ格好良い

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・余談

『GAMERA1999』を見直すためにビデオデッキとPCで再生するためキャプチャデバイスを購入。本作はVHSでしか流通しておらず、現在の中古相場は1万円前後といったところ。渋谷TSUTAYAで借りられる。パッケージには約100分って書いてあるが、実際の本編尺136分ほど(何故……?)。

 ローソンで限定販売された特典映像付きの『GAMERA1999+』というバージョンもあり、そちらは予告編が約3分間入っている。

  雨宮哲監督は『宇宙パトロールルル子』アートブックで「好きなアニメ」に『新世紀エヴァンゲリオン』と答え、「『ルル子』に携わる上で役立ったモノ」に「『GAMERA1999+』のパッケージ」と答えている。

  

式日

・4時間しか寝てない最悪のコンディションで夜中の2時から観る『式日』、この世で最も正しい行いの趣がある。(2020年12月20日

・初見時、『エヴァ』と扱っているテーマがこれだけ近いなら僕は面白い『エヴァ』の方が……という感想しか持てず、今回もそこはあまり変わらなかったんだけど、結末がいくらか晴れやかなので、そこが当時の庵野監督の中でアップデートされた点だったのかなと再見して思った。(12月20日

・『ラブ&ポップ』はEDが超絶格好良いけど、『式日』は本編の陰惨度が増してる反面、現実と向き合う結末がもう少し肩の力を抜いて描けているというか。あとは血も涙もなかった「終劇」と「33日目以降 未定」の差ですよね。(12月20日

・ところで『式日』は「惑時」(once upon a time)のテロップで始まるんでしたね。(12月20日*4

 

ヤヌス(二面性)』

・短編なので『流星課長』などと同様このリストからは割愛すべきかとも迷ったが、せっかく初見だったので。

 24人のクリエイターに加藤あいを題材に短編を撮らせるテレビ番組『24人の加藤あい』の中で作られた1本。『ヤヌス(二面性)』では加藤あいが1人2役で漫才のようなナンセンスギャグを延々繰り広げる。

 本編が30秒✕2なので本編時間は一瞬ながら、DVDに集録されたメイキングがなかなか良かった。役者に演技指導する庵野さんが見られて貴重なのと、レモンウォーター飲む庵野さんがかわいい。何気に脚本が松尾スズキさん(庵野さんが本作のポイントだと語っている)。撮影助手は摩砂雪さん。(1月12日:1/2

  

キューティーハニー

・実写ハニーは編集の良さが他の庵野作品に比べて段違いに弱いんだけど、最後のエンディングに入るところはめっちゃ気持ち良いのよな。冒頭のハニメーションとメガネ取るとことラストのおかげでいろいろまあいっかってなるところがある。(2021年1月12日

・夏子がメガネを外すシーンで文脈~~~っとなる。『フリクリ』のニナモしかり、『ヱヴァQ』のミサトさんしかり、メガネは時に心の壁を表す小道具にもなるので(1月12日

  

『Re:キューティーハニー

・今回の鑑賞中に、過去に見たつもりになっていただけで、実は寝落ちしていて2話目以降ちゃんと見ていなかったことが判明(記憶が無いわけだ)

・最終第3話は実写版で半端になってしまったところを今度は半端にさせておくわけにはいきませんでしたという感が清々しく。摩砂雪さんありがとうの気持ちがいまだかつてなく高まった。観てよかった。(1月11日・1月12日:1/2/3

  

ストリングス〜愛と絆の旅路〜』

・初見。デンマークで製作された、人形を使っためずらしいアニメーション映画。日本語版監督を庵野さんが務めている。実際のところは音響監督的なお仕事か? 一応エンドロールでは「監督」と表記されていた。

・登場人物が自分の“糸”を知覚していて、四肢の糸が切れれば身体の自由がなくなり、頭の糸を切ると死ぬって設定は面白かったな。あまり見たことないファンタジー設定(1月12日) 

ナウシカやんけ! みたいなセリフがあって、庵野さんの必然性ある仕事を手繰り寄せる手腕に恐れ入った。 >「夢にシデオンが現れこう言った。多くの糸が地に落ちるであろう。そして空は炎につつまれるであろう。だが、金色に輝く若者が、我ら民を導き、苦しみから救うだろうと」1月12日

 

「自分の糸の終わりが見える?」 「いいや 君は見えるの?」 「私の終わりからあなたが始まり、あなたの終わりから私が始まる そういうふうにみんなつながてるの」  エヴァか?(1月12日

・『ヱヴァQ』におけるヴンダーの操演っぽい糸は基本的には特撮経由の発想だと思うけど、採用する際にいくらか意識はしたんじゃないかなという気がする画はいくつか出てきた(1月12日

・舞台装置とか見せながら始まるオープニングがいかす。主人公が世界の仕組みを理解したときにマトリックスっぽく覚醒する場面があり、そういえばマトリックスも最終的にはナウシカみたいな話をやっていたなと謎の感慨があった。(1月12日

 

  

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』

 

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

・映画館で見るヱヴァ破、おもしろ…!(2020年12月12日

・先週と見た映画館違うから単純比較できないけど、序より人入ってましたね(12月12日

・やっぱ破は引き算のリミッターが外れていて他のどのエヴァとも水が違う感じがある(12月12日

・後ろに座ってた中国のオタク、破の劇場鑑賞が初だったのかエンドロール入るところで明らかに感極まってるのが伝わってきてちょっとグッときた。あと横の人が終了時に控えめに拍手をされていた(12月12日

・ヱヴァ破、「翼をください」のシーンを土壇場でSE無しの無音演出で強行した音響監督庵野秀明の天才性が浴びれる貴重な機会なのでみんな映画館で見ましょう。なお効果音有りの野口バージョンはDVD/BDの映像特典で見れます(12月12日

・劇伴が強すぎるんだよな。5号機活躍時の「At the very beginning」、落下使徒の「Destiny」「Fate」、第10使徒の「In my spirit」「Keep your head above the mayhem」「The final decision we all must take」「Carnage」と来て、綾波を返せ!に満を辞して「The Beast」をかけるという。おまけにカレカノ劇伴やら太陽を盗んだ男からのYAMASHITAやら三百六十五歩のマーチ、今日の日はさようなら、翼をくださいまであるので完全にオーバーキル(12月12日:1/2

・人類は暗闇の中カチャカチャと環境音が鳴り始めいきなり5号機エントリープラグの映像で始まるアバンが大好き(12月12日

・先日CONTINUEの鶴巻監督インタビュー読み返していて、鶴巻さんは「ここから先は僕にもわからないし、決めてないし、描かない」という状態で表現することもできると思ってる(例:ハル子)けど、庵野さんは全てが分かった上で神的視点から描きたがるって話が面白かったな(思い出しツイート)。その辺はマリのキャラクターづくりが難航したエピソードにからめて出てきたお話(12月12日:1/2 

・『破』ラストのゲンドウのセリフ「我々の計画にたどりつくまであと少しだ」については「最後に初号機がこうなることをゲンドウは知っていたんですか? それともゲンドウは意外だったけど結果オーライなんですか?」ってマジレスで庵野さんに詰め寄る鶴巻さん最高なんだよな。

 庵野さんとしては「一応、狙いで予想どおりだったということで」という回答。鶴巻さんは「それはそれでいいかと。僕としては、ゲンドウだって本当は内心慌てているんじゃないかと疑ってますけど……」というスタンス。監督クラスでキャラ解釈が微妙に割れてるの、作ってて絶対楽しそう。この辺は『破 全記録全集』(ハードカバー版)の332~333ページに記載の情報。(12月12日:1/2/3

・破、アスカのアフレコで当初なかなかキャラが宿らず、庵野さんが「フィルムの中のアスカが、宮村の中で一度消えたんだろうな」と述懐してるのなんともいえない切なさがあるのよな。なお破で「ようやく宮村がアスカになってくれた」のはシンジの部屋でぼそぼそ心情吐露するシーンだったとのこと。良い話(12月13日

・破は「食事」を丁寧に描いたからこそ、3号機がぐちゃぐちゃにされるシーンが余計しんどいというか。庵野さん自身肉を食わないし、ナディアから繰り返し扱ってきたテーマでもあったけど、ここにきてこんな劇薬をぶっ込んでくるかと。あれが捕食を思わせるというのは鶴巻さんも全集で言及してた(2021年1月22日

・破の最萌えポイントである足カチャカチャは庵野さんのアイデア。記憶改変されて鶴巻さんだと思ってた(1月22日

 

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

 

 ・観客の動体視力を120%信頼したアバンのUS作戦まじでキレッキレの映像で最高なんだよな。世紀の傑作が始まった貴賓と風格がある。3.33なので、劇場公開版と違ってヴンダー発進シークエンスに吹雪の撮処理が乗っていて密度感が段違い。そこだけでも料金分の元を取った感ある。(12月18日

・改めて見返すとシンジをひたすら突き放しているように見えた前半も、当のシンジは「何言ってんのこの人たち(トホホ〜)」みたいなとぼけた表情をちょいちょい見せていたのだなという発見があった。(12月18日

・深刻さのギアが、目覚め→ニアサードのトリガーだったと自覚→綾波助けてなかったと気付く→槍でやらかす→カヲル死亡でどんどん加速するという。ただアスカ目線では目覚めの時点からシンジ像がさほど変わっていないので、ラストのコミカルな絡みにすんなり入れると。(12月18日

・導入と締めくくりが抜群に良いだけに、ドグマ到着後に素っ頓狂なまでに槍に固執する展開を調整するだけでQの世間的評価は180度違っていた気がするなあと最近は見返すたびに思いますね。(12月18日

 

・『シン・エヴァ』公開再延期が発表された1月14日

木が生えてきたところにピアノを運んできた可能性もある 

  

シン・ゴジラ

・『シン・ゴジラ』とかいうめちゃおもしろな映画……。やはり日々生きていると街や国を丸ごと燃やしたくなる牧教授マインドになることはままあるのだが、いざ見慣れた風景を火炎とプロトンビームで薙ぎ払われるとやはり胃に砂を詰め込まれるような心持ちにはなる。しかも画面が劇中屈指の美しさなのがまたタチが悪いんだよな。

 冒頭のトンチキ会議天丼コメディからの第4形態による東京ガチ破壊→無人在来線爆弾の流れが天才だし、このプロットを通せたこと自体が奇跡……。(2020年11月13日:1/2/3

 

・『シン・ゴジラ』は池袋HUMAXシネマズ ゴジラまつり「須賀川特撮アーカイブセンター 開館記念 特別上映『シン・ゴジラ』『巨神兵東京に現る 展覧会版』『メイキング作品 巨神兵が東京に現れるまで』にて、樋口監督トークショー付きという最高の環境で鑑賞。

 

 ・トークショーメモ:『巨神兵東京に現る』という作品がメイキングありきの企画だったって話が面白かった。2012年の特撮博物館開催にあたり、先人がどのようにミニチュアなどを駆使していたか資料で残っておらず、どう展示するか悩んだ末に新たに作品を作ってその行程を展示すれば良いのでは? という方法に行き着いたと。

 メイキング『巨神兵が東京に現れるまで』を制作した島崎淳さん(写真中央)もサプライズ登壇されていた。いつのまにか「おっさんたち萌えになっていた」との島崎さんの言葉通り、撮影手法の提案→検証→本番の流れでいつもキャッキャと楽しそうな樋口監督をはじめとしたスタッフが印象的な作品w

 

 今月3日に福島県で開館した特撮アーカイブセンターの実現に、実はこのメイキングが後押しになっていたという良い話も。特撮の関連施設に税金を投入することに難色を示した議員も「当然いた」そうで。しかし議会でまさかの巨神兵本編&メイキング上映により、反対派からもぜひやろうと理解を得られたと。

 樋口監督が冗談で「メイキングを作るためのやらせ映像」って言ってたのも笑った。どこまで本気か分からないけど、「メイキングを撮りやすいようにコンテも決めて。島崎くんを向いて撮ってました」とも。制作にかかった期間は1カ月で、あの尺としてはめちゃくちゃ贅沢だったとのこと。

 最後に『巨神兵』から『シン・ゴジラ』に継承した部分を聞かれて、それはあまりないと答えていたのも印象的だったな。どちらかというと『巨神兵』→『進撃』があって、そこで一度流れが途切れて特撮ではなくCGに全振りした方向性としてシン・ゴジがあると。

 CGといえば、『巨神兵』の『ヱヴァQ』版について聞かれて、QはCG解禁が特徴と即答していたな。巨神兵の羽を全部CGで作り直したり、バチバチなってる電柱をCGで足したと。このあたりは「より精度の高いものにしたいという庵野秀明の要望に応えて」とのこと。(2020年11月13日:1/2/3/4/5/6/7/8

  

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 3.333』

 ・公式サイトに掲載されている氷川さんによる解説文・インタビューは必読。

『シン・エヴァ』につながる“お試し”もいくつかやりました。たとえばシンジがネルフに奪還されるシークエンスでは、着弾を受けて揺れるマリの映像をモニターに出して、それを庵野さんがiPhoneを手持ちで動かして撮っているんです。その動画をガイドにして、撮影で最終的なカメラワークを付けました。これがものすごく効果的だったため、『シン・』で多用することになりました。レイアウト上の目盛りやシート上の設計よりも、手で撮ったほうがイメージどおりになるんです。撮影部としても意図がダイレクトに反映できるので、非常に助かりました 

 この撮影監督・平林奈々恵さんのコメントを読んで、『CGWORLD 2013年6月号』掲載のカラースタッフ座談会で、ヴァーチャルカメラを使ったカメラワークの有効性について語られていたことを。『Q』にまつわるスタッフインタビューは殆ど世に出ていないので、この『CGWORLD』もサブテキストとして貴重。

  

 紙の下に『鬼滅』がうっすら透けて見えるのが味わい深い。

 

・冒頭US作戦のモニター映像のクリアさの快楽にまずやられる。マリが歌う「ひとりじゃないの」はこれまでちゃんと聴こえるところとそうでないところが混在していたけど、『3.333』ではまんべんなく聴こえやすくなっていた印象。特に「いつまでも どこまでも」と歌い切るのに合わせて4号機くんがバリィッとATフィールド破るのが分かりやすくなっていたのがよかった。

 カヲルと共に見上げる星空のゆらぎは昨年末劇場で再見した『3.33』では正直そこまでうまく行ってるように見えなかったけど、レーザーIMAXの『3.333』では綺麗でしたね。あそこは肉眼で見たようなゆらぎを意識したカットで、担当者がまずは実物の観察のため山中に出掛けたという苦労話が。技術的にはStarProなるソフトで実際の星座をシミュレーションして、AEで素材化し、3Dで天球に貼って、地球の自転とほぼ同速で回転させた上で肉眼のゆらぎを足した……とのこと(CGWORLD 2013年6月号p.54に解説がある)。労力とこだわり方が異常……。(1月13日:1/2/3/4

 

・高画質化により気付いたこと:シンジが投げたS-DATをカヲルが拾い上げる場面、よく見ると床にプラスチック片が散らばっててちょっとせつない……。(1月12日

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・ゲンドウがスポットライトを浴びる場面、よく見ると端の方に階段がある。つまりゲンドウはライトが消えた隙に急いで階段移動していた……?(1月12日

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・『3.333』が円盤化される際は次回予告最後の「西暦2021年1月23日公開」テロップを残してほしいな……。完結したら『1.0』『1.01』『1.11』『2.0』『2.22』『3.0』『3.33』『3.333』『3.0+1.0』『3.33+1.11(?)』を収録した最強完全版BD BOXが出ると信じてる。(1月13日・1月22日1/2

  

 というわけで、あとは『シン・エヴァ』を3月8日に観るだけ。心の準備ができていません。

*1:結果的にDAICON版『帰ってきたウルトラマン』や短編の『流星課長』あたりも観てしまったので、観れてないのはたぶん『空想の機械達の中の破壊の発明』ぐらい。

*2:※『ナディア』の配信は、dアニメストアだとリマスター前で画質がよくないものの次回予告(投稿イラストコーナー)付き。Amazonプライムは綺麗なリマスター版ながら、次回予告が省略されている。BD BOXも次回予告は省略されているので、現在最も手軽に見られるのはdアニメストアの方。今回の鑑賞は基本的にdアニメストアで行った。

*3:前半は繰り返し観ていたのですが、実は後半まで通して観るのが初でした。

*4:※ご存知とは思いますが『シン・エヴァ』の副題は「THRICE UPON A TIME」です