中二病患者〜良い大人まで幅広くカバーする素敵脚本 : ガンダムユニコーン 2話感想(前半ネタバレなし)

 台風の中わざわざ劇場まで出向いて観てまいりました、『ガンダムUC』の二話!結論から言えば1話同様安心の高クオリティ。これから観る人は安心して鑑賞に望んでください。ただひとつだけアドバイスをすると、ネット配信やソフト購入で観るのももちろん良いと思いますが、余裕のある人は初回視聴は劇場がオススメ。あのクオリティの映像・サウンドが1200円で大スクリーン鑑賞できるのはあまり無い事だと思いますので。
 本日は劇場公開初日の初回で観てきましたが、劇場は流石の超満員。限定250個のプラモ販売に対して300人の行列ができるくらいの繁盛ぶりと言えば伝わりますでしょうかw。僕はガンダムファンとしては初心者もいいとこなので、30分前に現地に着いて「うわぁ」と臨戦態勢のガノタの皆さんに圧倒されてました。性別比がまた男ばかりで凄いんですよ。今までこれほど男性率の高い劇場はウルトラマンのオールナイトイベントくらいでしか経験したことが無かったので、そこでも圧倒されてしまったw。ちらほらと2〜3組のカップルも見かけましたが、女性を見たのはそこだけですね。
 しかし男性ばかりと言っても年齢層の幅には「流石」と思うところが。下は高校生くらいから上は4〜50代まで、観客の年齢層の比率がかなり綺麗にバラけているように感じたのですよ。やはり長きにわたって「男の子」達に支持され続けてきたシリーズは違うなぁと感じましたね。これだけ様々な年齢の人が観る作品ということは、言ってしまえば『ガンダム』の看板を背負った作品を作る人たちは中二病患者の人だけでなく、良い大人なひとにまで求心力を持ったお話を作らなきゃいけないわけですよね。クリエイターにとって『ガンダム』というブランドが“重圧”となり得るという話は良く聞きますし、なんだか自分でも頭では分かっていたつもりでしたが、今回はそれを体感できた気がしますね。良い経験となりました。
以下本編感想。まだネタバレ無し。
 このシリーズは画面から漏れ伝わってくる密度が素晴らしいですね。画力にしてもそうですし、効果音やBGM、台詞に至るまで、実にファース・トガンダムの地続きである世界に相応しい密度です。特に脚本の情報量の按配が好きですね。陳腐過ぎては駄目だし、押井監督の『劇パト』的な舵きりも勿論ダメ。そんな中で本作は絶妙に良い塩梅で行っていると思います。
 シリアス系ガンダムで絶妙な情報量の按配という事は、その他大勢のアニメと比べれば「分かりにくい」脚本ということになります。そこで本作のミソとなるのが、主人公バナージの行動の動機付けにあると思いますね。例えば専門用語飛び交いまくる場面(ex.「第二次ネオ・ジオン抗争がうんたん」、「サイコフレームがうんたん」)があったとして、途中で少しくらい知らない単語が出てきたところで、観客としては台詞の前後関係から自分なりに整合性のとれたお話の組み立てが脳内でできるわけです。しかし中にはどうしても大量の専門用語だとかのせいでストーリーから振り落とされそうになる場合もある。そんな時の最終防衛ラインがバナージの「オードリーは俺が守る!」みたいな単純な動機付けだと思うのです。がっつり話の筋が追えている場合でも、なんだかストーリーに振り落とされそうな場合でも、とにかく無条件でバナージの行動に燃えられるようできてると思うんですよ。このへんは本当にうまいなと思いますね。
 
こっからネタバレ気味感想を少し。頭まっさらで鑑賞したい方はご注意を。
 
 2話は冒頭に「前回までのあらすじ」が流れたのですが、これがまたあらすじってレベルじゃないですねw!10分前後の長尺なだけあって異常に分かりやすい1話の総集編になっていてびっくりしました。正直実際に1話を観た時よりもお話が頭に入った気がしますw。
 今回登場したキャラで目立つのはなんと言っても「シャアの亡霊」フル・フロンタルさんですが(池田秀一さんの声の説得力が凄い!)、個人的には『ダブルオー』で言うところの「サジ・クロスロード」的ポジションのリディ・マーセナスが良い感じ。僕はサジというキャラクターがとにかく大嫌いなんです。サジはキャラとして生きている感じが全くせず、アニメスタッフによって作られた舞台装置にしか見えないから、というのがその大きな理由なのですが、今回出てきたリディ君はあちらに比べてとても優秀な気がします。オードリーとの言い合いで頑なに妄信していた理念を揺さぶられていく所なんかはたまらなかったですね。
 これまた1話目でも感じたことですが、エピソードの区切り方が絶妙。前回はガンダムが変形したテンション絶頂時に一区切り入れたのに対して、今回はバナージが「殺人」が「正当化」される戦場についての考えに一応のケリを入れ、「次はここが戦場に!?」で引き。素晴らしいですね。週刊漫画も真っ青の完璧な引きです。第3話も絶対観に行きますとも。