『虹色ほたる』観てきたよ


虹色ほたる』個人的にはいまひとつでした。作画は挑戦的で良いところも多かったですし、全方位的に批判されるほど悪くないとも思いますが。実際初日の映画館の帰りの列ではあちこちから「感動した」という声も聞こえてきましたし。自分も部分的には楽しめたのでまあ満足。予告編でピンと来た人は是非観に行くと良いんじゃないでしょうか。
 
以下ネタバレ感想
 
 
あまりに典型的な「田舎サイコー!」描写がどうにも嘘くさく見えてしまったのですよね。人間関係とか。あと、ダム開発によって田舎を離れる子共達がいちいち郷愁を滲ませまくりながら去っていくのがどうもしっくりこなくて、感動の押し売りの一環に見えてしまった。『マイマイ新子』はその辺のバランスが抜群に良かったなー。
最初は主人公が「父親の死」をどう克服するかの話だと思ってたんですが、「田舎サイコー」エピソードの数々のおかげで気がつけば主人公はすっかり立ち直っており、終盤ではヒロインに現実世界に留まるよう説得する側に回ることに。主人公は元々そこまで落ち込んでいる風でもなかったので、感情の流れとしては自然ではあるんですけど。
「30年前の田舎」に楽しさを見出せたことで、「未来の(父のいない)現実世界」でも生きていける気力をゲットするというのは実にポジティブで良い話だとは思います。ですが「未来の現実世界」の映し鏡ともいえる「過去の田舎」がああもストレスフリーな極楽浄土では、どうにも説得力を感じない。最後に「それでもこども達は現代の現実を生きていく」的な寒いテロップが出てましたが、それも含めて。
 
あとは終盤のヒロインとのご都合主義なラブラブ展開がちょっといただけなかったですね。場合によってはご都合主義でも大いに結構なのですが、今回の場合「ケータイ小説」的な空々しさを感じてしまいました。別に新海誠ほどストイックに「ロマンチックラブ」に疑問符を投げかけて童貞をこじらせたような話にしろとは言いません。しかしラストの「事故の後遺症でハンディキャップを抱えた少女と運命の再開→そして奇跡が!」みたいな展開は流石にあざとさが鼻につきました。
 
簡素化したキャラデザで登場人物を終始ちょこまか動かしているのは本作のかなり特徴的なところですね。万能な演出方法ではないと思いますが、本作では魅力的な画が多々あって面白かったです。上では田舎での生活描写が嘘くさく感じたと書きましたが、しかし山道を走り抜ける場面などは疾走感抜群でしたし、池に飛び込む水遊びのシーンや、車の上から手を振る何気ないカットまで、作画は見ていて飽きませんでしたね。交通事故のシーンとか凄かった。
ただ今回一番笑ったのが、大平さんが担当されたクライマックスのパートがこないだ公開された『ももへの手紙』以上に異質感バリバリになっていたことwww この点は完全に予想の斜め上でしたw こんな全編特徴的な絵柄で描かれているアニメでも大平さんの所は異質な感じになるのかとww

 
追記:細かいようですが、気になった点をもうひとつだけ。何箇所かでガヤの台詞がしんどかった。女の子が車に乗って都会に引っ越していく場面で、周囲の同級生が「絶対手紙書くからね!」を延々繰り返すトコとか。「絶対手紙書くからね!」「手紙絶対書くから!」「絶対手紙書くからね!」……何回決意表明すれば気が済むんだ!と思わず心の中で突っ込んでしまったw