『FF7リメイク』クリア感想 映像、ボリューム、ストーリー全部良かった

 『ファイナルファンタジーVII リメイク』をクリアしました。ひさびさに国産の超絶大作RPGをやったな〜という充実感でいっぱい。

 

 発売直後なので、記事前半ではネタバレを避けて書きますが、発売前に公開された「ファイナルトレーラー」に含まれる情報には触れます。シリーズ過去作は『FF12』『FF13』『FF15』しかやってないのですが、その中では文句なく今回の『FF7R』が一番面白かった。

FINAL FANTASY VII REMAKE ファイナルトレーラー

 

 一般に『FF7R』で最も注目、もしくは期待されている点に、「オリジナル版とは結末が違う“別ルート”が描かれるかどうか?」があると思うのですが。前提として、本作はPS1で発売されたオリジナル版『FF7』の序盤2割程度の展開(ミッドガル脱出)までしかストーリーが描かれません。

 そのため当然“別ルート”の有無は現段階では分かりません。分からない……のですが、トレーラーには少なくともセフィロス「また守れなかったな それでいいのか」「共に運命に抗ってみないか? 未来はお前次第だ クラウドという思わせぶりな台詞が見られます。そういう意味では本編でも、こうしたファンの期待を煽る展開、台詞、設定が頻出します。

f:id:samepa:20200413015153j:plain

思わせぶりな台詞ばかり言うセフィロス

 とはいえ本作がPS1のオリジナル版『FF7』のプレイを前提としているかというと、全然そんなことはなく。私自身オリジナル版を未プレイなのですが、全く問題なく楽しむことができました。そればかりか、上記のような思わせぶりな台詞を含め、「おそらくこれはメタ台詞なのだろう」といった部分もテンションが上がる要素として楽しめました。

 もしかするとオリジナル版ファンの中に「原作こそが絶対で、わずかな改変も許せない」と拒絶反応を示す人もいるかもしれませんが。ちょっとそちらの方面の温度感は分かりかねます。

 

 前述の通り、『FF7R』で描かれるのはミッドガル脱出まで。今後何部作になるかは未発表です。そのため、今作はさほど盛り上がることなくアッサリ気味な遊び心地になるのではないかと心配していたのですが、全然そんなことなかった。

 まずグラフィックがひたすら豪華で、特にムービーはアクションシーンから市街地が破壊されるディザスター描写まで見応え満点でした。まごうことなきスクエニ総力を上げたAAAタイトルです。

f:id:samepa:20200411214014j:plain

グラフィックが全編すごい

 ムービーは基本良かったのですが、軍事作戦中にもかかわらず立ち話をタラタラ流すような演出があったのには首をひねりました。大げさなムービーは一長一短とはいえ、エモーショナルに演出しようとするあまりスピード感を犠牲にしてるパートがあったように感じました。

 ゲームのテンポ感に関しては、街のモブの会話が近くを歩くと音声として聞こえてくる形式に統一されてるのは新しかったです。立ち止まって聞くとしっかりやり取りをしていて、いちいち話しかける旧来の手法からアップデートを模索しているのが伝わってきました。歩いているだけで活気のある街のように感じられる「ガヤ」としての効果も発揮していて面白かったです。

 戦闘も歯ごたえがあり楽しい。ノーマル、イージー、クラシックの3段階の難易度から選べます。個人的には、体験版でボス戦でそれなりに時間取られそうなのが分かっていたので、今回は割り切ってイージーにしました。おかげでストレスなく、一度もゲームオーバーすることなくクリア。

 ラスボスはそれなりに手強く、イージーでも強敵を打ち倒した満足感が得られました。サブクエストをほぼ完全無視で進行したので、25時間弱でのクリアとなりましたが、ノーマルモードで寄り道をしたりするとあっという間に30時間は超えるボリュームだと思います。3日でクリアしたのですが、最終日は17時間ぶっ続けでプレイするほど熱中しました。


 事前知識としてはメインキャラの名前をざっくり知っているかどうかという程度だったので、冒頭からぐいぐいくるジェシーという存在すら認知してなかった伏兵ヒロインには驚きました。びっくりしすぎて、思わずオリジナル版の冒頭を慌ててプレイして、差分を確認してしまったくらい。彼女の存在感が大幅に増してるのはリメイク版の大きな特徴でしょう。

f:id:samepa:20200411011041j:plain

めっちゃ存在感を増したジェシー

 

 他にもいろいろと差分が気になるので、これからオリジナル版をプレイしていく予定です。

 実は『FF7R』と同時にオリジナルのPS4移植版をポチっていたのですが、これが思わぬ拾い物でした。2015年に発売されたPS4版(SwitchとXbox One版も)には過去の移植版にはなかった3倍速機能と、戦闘中の一時的なパラメーター上昇機能が搭載されています。邪道ですが、これにより苦労することなくサクサクと攻略可能に。ひとまず冒頭でアジトに到着するあたりまでプレイしてみましたが、そこまでわずか30分程度の所要時間でした。『FF7R』の自作が発売されるまでにはオリジナル版もクリアしておこうと思います。


 ここからはネタバレを交えてちょっとだけ。クリア済みの方か、ネタバレを気にしない方のみお読みください。

 

 


 いや〜〜〜〜、運命の番人「フィーラー」まわりの設定が良かったですね。オリジナル版未プレイのため、クリア後に検索して初めて、そもそもフィーラーがオリジナル版には存在しない設定だったことを知りました。5chなどでは原作改変を許さない「原作厨」のようなものという要約も見られますが、これはなかなか言い得て妙です。作中、フィーラーはクラウド達の目的を後押しするときと、反対に全力で邪魔をしてくるときがあったので、まさしくファンによる圧に近いものがあるなと。

【追記:ひとつ書き忘れてました。フィーラーを原作厨的なものと定義した場合、フィーラーとの対峙は“「欲望」との戦い”とも解釈できます。そしてそれは、エネルギー問題を巡るアバランチ神羅の対立構造と相似的です(プレジデントも明確に「欲望」というワードを使っていましたね)。
 今作は映像がリアルさを増しているだけあり、アバランチの過激派環境テロリスト的な活動がこれまで以上に安易に賛同しづらくなっています。むしろ電車で遭遇する通勤中の神羅社員や、神羅ビルでぶった切られる神羅兵のほうにうっかり感情移入してしまったりする。また現実で約10年前に原発事故を経験している以上、「FF7」のオリジナル版リリース時に比べてこの辺の扱いにナーバスになってしまう社会的背景もある気がします。

 その点だけは、20数年の時を経てリメイクされた本作の欠点かなあ……とプレイ当初は思っていたのですが。テーマ設定がフィーラーにスライドされているので、そこも見事クリアしてしまっているのです。これには一本取られた感がありました。(4月14日19時)】

 終盤のセフィロスとの台詞の応酬は、たいへん厨二チックに世界線改変を匂わせていて良かったです。

「ここは?」「世界の“先端”だ」

「お前の力が必要だ クラウド ともに 運命に抗ってみないか?」「断る」

「終末の7秒前 だがまだ間に合う 未来はお前次第だ クラウド――」 

 この辺はどれもテンションぶち上がった。最後にフィーラーの集合体である巨大ボスを倒し、未来が不確定になったので「The Unknown Journey Will Continue」ということなのですかね。
 記事前半ではぼかしましたが、クラウドのフラッシュバックやら、エアリスが最後に皆に見せる記憶の断片やら、思ったよりがっつりループものの文脈なので、続編で傑作になるのか駄作になるのかも含めて、スリリングで楽しみ。良くも悪くもオリジナル版に思い入れがないので、手放しで楽しめているところがある気がします(熱心なファンだったら不安で眠れなくなるやつでは……)。

 検索するとエヴァ新劇場版を引き合いに出している人がそれなりにいて、ですよね〜っとなるなどしました。ループものであるかどうかとエヴァ新劇場版の精神性がどうこうは微妙に違う話なのですが、それを語りだすとそれだけで別記事になるのでここでは割愛します。

 

 今作はラストでまさかのビッグス生存ルートでしたが、ビッグスのいる部屋の机の上に赤いハチマチがあり、一瞬「もしかしてジェシーも生存!?」と勘違いしました。そういえばビッグスもハチマキをしてたんでしたね……。なんでも生き返らせれば良いというわけではありませんが、ビッグスとウェッジが生存or生死不明状態に引き上げられたのにジェシーだけ不憫……。

 坂本真綾のエアリスが大変とてもめちゃくちゃ良かったので、この流れでやっぱりエアリスが容赦なく死んでしまう展開だとつらいなあ。セフィロスがやたらクラウドと手を組もうとしてくるので、エアリスを救おうとするとセフィロスが得をする(地球ヤバイ)展開になり、葛藤が生じるという展開になりそう。

 このスケールと完成度で作っていくと、完結まで5〜10年コースになりそうなのが気がかりですが、とにかく続きが楽しみです。