『蒼きウル』再始動!!山賀監督などが登壇したイベント簡易レポ


昨日阿佐ヶ谷LOFTで行われた小林治さん主催のイベントで、
なんと山賀監督の口から『蒼きウル』の制作が発表されました。
詳細は本日の東京国際アニメフェアで発表されるそうです。

ガイナックス企画「蒼きウル」が再始動!キャラクターデザイン&コミカライズに貞本義行、監督に山賀博之 エヴァ緊急ニュース
蒼きウル - Wikipedia
東京国際アニメフェア2013(ブログ更新時点では何も情報無し)

『蒼きウル』以外の話題については以下のtogetterがよくまとまってました
アニメーション監督・山賀博之 - Togetterまとめ

 
イベントの登壇者は小林治さん、山賀博之さん、
貞本義行さん、村田蓮爾さん……。
この上、飛び入りで赤井孝美さんに武田康廣さん。
参加しておいて言うのもなんですが、異様な豪華さ。

「コバヤシオサムのアニメ道」イベント告知ページ

 
『ウル』といえば、ガイナックスの代名詞的な作品である
王立宇宙軍』の続編にあたる作品です。
 
前作同様、べらぼうな製作費をかけて作られるはずでしたが、
資金難等の理由により、長らく制作が凍結されていました。
 
その間、ガイナックスは『エヴァ』のヒットがあり、
カレカノ』から『トップ2』までの流れがあり、
現スタジオトリガー組の『グレンラガン』や『パンスト』があり……。
 
これまでの歴史を振り返れば、ガイナックスはヒット作に
恵まれている時期も多いものの、
なんとなく影が薄くなることもありました。
『パンスト』後の現在は特にそうした傾向が顕著だったような気がします。
 
大ヒットには恵まれないものの、
ダンタリアンの書架』や『めだかボックス』など、
原作付きのアニメで誠実な作品作りを続けていたんですけれどね。
 
そんな折に、まさかの『ウル』発表ですよ。
 
昨日のイベントの存在はわりと開催ギリギリに知り、
駆け込みでチケットを購入したのですが、
結果まさかあんな歴史的瞬間に立ち会えるとは。
 
イベント開始から既に四時間程度が過ぎ、
小林さんから「終電の人はそろそろ気をつけて下さい」
的アナウンスがあった直後、山賀監督がおもむろに
山賀「あー、社内連絡です。蒼きウルやります」
会場「うぉぉおおおおお!1!1!!」
不意打ち過ぎる!(笑)
 
 
脚本・監督は山賀さん、キャラデザはやはり貞本さんのようです。
なんでも貞本さんは『エヴァ』の連載が終わり次第、
『ウル』漫画版の執筆に取り掛かるそうで。
ただ『エヴァ』の終了直後から掲載が始まるということではなく、
若干の充電期間を経てから連載が開始されるようです。
 
作品テーマについて、イベントで貞本さんから少しお話が出ました。
曰く、「『王立』は当時若かったスタッフの気分が反映されていた。
それに対し『ウル』は、ある程度力を出し切ってしまったけど、
それでも頑張る人たちの物語。
しかしそれを今の小中学生に観せる意味はあるのだろうか……」
と、どうも葛藤があるようでした。
 
そしてそれに対して、そこには間違いなく意義はある
と確信してる様子の山賀さん。
山賀さんは「どう確信を持っているか」についても何か言っていた
はずなんですが、見事失念。無念。
しかしきっとその内インタビュー等で語ってくれることでしょう。
 
観客からの質問コーナーで気になったものとしては、
「『ウル』の企画当時中核メンバーだった人の中で、
現在ではもうガイナックスを抜けてしまっている人もいるが
そうした人たちの参加はあるのか?」というものが。
山賀さんからは、
「当時のスタッフをみんな再結集してやるぞー!
という感じではないが、参加していただける方
には是非加わっていただきたい」
といった返答が。
 
他にも、「ストーリー的に『王立』の直後に相当する、
『ウル』とは別の作品がかつて企画されていたが、
それはどうなっているのか?」といったマニアックな質問も。
結論から言うと、そちらの企画は全く動いていない、
とのことでした。
 
 
先ほど帰宅して『王立』の小説版に収録されている山賀監督
のインタビューを読み返していたんですが、そこにはこんな
ことが書かれていました。

 『王立』のセカンドエピソードっていうのは、
企画としてはあるんですけど、(『蒼きウル』は)
それとはまた別なんです。『蒼きウル』は時代もかなり違っていて、
あの地球で50年くらい経ったらどんなふうになってるかな、
くらいの話なので。
そういう意味では『王立』とはまったくつながってないですね。
 『蒼きウル』は『王立』以後に組み立てていったので、
ちょっとだけ大人になった俺はどうしたらいいんだろう、
みたいな話です。『王立』にはいわゆる学生としての自分、
半人前としての自分は、世の中に対してどうしたらいいんだろう、
っていうのがひとつのテーマとしてあったのですが、
『蒼きウル』は、じゃあ大人になっちゃったおれは
何をしたらいいんだろう、というものです。

オネアミスの翼  王立宇宙軍 (朝日ノベルズ)

オネアミスの翼 王立宇宙軍 (朝日ノベルズ)

 
これは3年ほど前のインタビューで、この中では、
「(『ウル』が)やりたいなっていうのはずっとあって、
たぶんやると思います」という発言もあったりします。
これを読んだ当時、山賀監督はまだ『ウル』を
諦めていなかったのか、と驚きました。
なんせ二十年以上も前の企画ですからね。
 
しかしこれを実現するため、長きに渡りガイナックス
社長として居座り、虎視眈々と機会を伺っていたわけです。
凄い根気、執念、したたかさだと思います。
……って言うと、これまで『まほろまてぃっく』や
アベノ橋』を監督したり、その他作品のプロデュースや
社長業もきちんと頑張っていたんだと怒られそうですが。

 
とにかく、どのようなスタッフが脇を固めるのかも含め
続報を楽しみに待ちたいと思います。
実は山賀さんが監督、あるいは脚本等として参加された
作品ってそんなに観ていないので、『ウル』の公開までには
色々と予習しておきたいものです。