今週のハンター(#339) 風景で繋ぐゴンたちの絆

最近の絵の荒れが嘘だったかのように今週はスッキリした線で描かれていて驚きました。それだけ重要な節目だったということでしょうか。
ジンと一旦別れるというのは想定内。ゴンの治療、ジンとの再開という大きなイベントが終わったこともあり、ここであらためてNGL編〜選挙編までの一区切りですね。バタバタと「“外側”の世界編」に行ってしまうのではないかという不安もあったので、グっと話が戻ってきてくれて嬉しいです。台詞のないダイジェストではやはりクラピカの再登場でテンションが上がりました。実は「出番は?」や扉絵以外で本誌でクラピカを見るのはじめてなのです。クラピカさんがきちんとした形で登場するのは実に10年ぶりらしいので、ずっと連載で追ってるひとなんかは感慨もひとしおでしょうね。
モラウとノヴの賭けの行方や、スピンの故郷を見にいくといった比較的地味な伏線がああいった感動的な形で回収されたのは嬉しい誤算でした。それとミトさんが相変わらず可愛くて安心しました。
ミトさんが持ってる葉書、よく見るとゴンがスピンの故郷で撮った写真が写っていて、直後の鳥の群れを眺めるミトさんのカットと繋がっているんですね。
今回読み終えて清々しい読後感でお腹いっぱい胸いっぱいになったんですが、読み返していて気がつきました。今回の素晴らしい読後感には「空」のカットが結構影響していたのではないかと。今回あった「空」のカットを並べてみると、

・1ページ目 夕暮れ
・2ページ目 世界樹の頂上の風景
・3ページ目 朝日
・4ページ目 くじら島の空、鳥の群れ
・7ページ目 窓から右下に向かって差し込む陽の光
・8、9ページ目 左上に向かって飛ぶ鳥の群れ、それを嬉しそうに見上げるゴン
・10、11ページ目 スピンの故郷の夕日
・13ページ目 ヨークシン(?)の夜景
・16ページ目 ククルーマウンテン
・18ページ目 東ゴルトー共和国上空

と、これだけあります。モラウとノヴのシーンだけは「葉書を持つミトさん→お金を持つモラウ」という例外的な(しかしこれまた見事な)繋げ方ですが、その他のシーンはほとんどが「空」を軸に展開しているように見えます。
これに加え、

・4ページ目 葉書を見るミトさん
・12ページ目 PC画面を見るナックル、シュート、メレオロン、イカルゴ、パーム
・13ページ目 PC画面を見るキルアとアルカ
・13ページ目 PC画面を見るレオリオ

というように、ゴンとその仲間の繋がりが「スピンの故郷の夕日の風景」を通じて象徴的に描かれていたように感じました。そんな中クラピカの登場シーンだけは「ヨークシンの夜」というカットで繋げられていて、断絶を感じるような形になっていますね。
ダイジェストのシーンはサラリと読めるんですが、実は結構テクいことやってるんだなと感心してしまいました。近年の登場人物を一挙に振り返ったときに、トリを飾ったのがメルエムとコムギだったのも感慨深かったですね。
カナリアがゴトーの墓に向かって「バイバイ」と手を降ってるシーンは、最初に読んだときは一瞬読者に向けてメタ的に手を振ってるのかと勘違いして、「まさかこのまま一気に最終回にしてしまう気では!?」と身構えてしまいましたが、単なる勘違いでよかったですw 最後のページのオビには「次号より新章開幕」、「十二支んに下された指令」とありますが、はてさてどうなるのでしょう。いまのところパリストンとキメラアントの5000体の繭の行方が宙ぶらりんになっているので、十二支んの再登場ということはそのへんからまた動いてくるのかな。
最初に書いたように、今回は意外にも絵が綺麗だったので、案外休載はまだ先になるのかもしれないという淡い期待が出てきてしまいました。新章のさわりの部分だけ見せられてその後長期休載…みたいな生殺しが一番怖いですが、とにかく来週を待ちたいと思います。