『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ネタバレ感想

映画公開初日、無事ネタバレを踏むことなく鑑賞することに成功しました。当日はネタバレが怖すぎて、Twitterの「アベンジャーズ」「ルッソ兄弟」「IW」といったワードを片っ端からミュートした上、作品に言及してそうなアカウントもことごとくミュートして、なんとかまっさらな気持ちで見ることができました。そこまでするなら半日ネット断ちしろという話ですが。

本作は世界初、全編IMAX撮影の作品。というわけで、日曜には大阪エキスポシティで2回目の鑑賞もキメてきました。でもこれ、ダンケルクみたいに「1.43:1」の縦横比ではなく、「1.9:1」のIMAXデジタルシアター用の規格(全国のIMAXデジタルシアターで上映可能な形式)での撮影だったんですね。エキスポIMAXは確かに最高でしたが、先に気づいていれば十中八九品川のIMAXで妥協してました。

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通常のスクリーンサイズ

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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で採用された「1.9:1」のスクリーンサイズ

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ダンケルク』だとさらに縦にデカイ「1.43:1」で撮影されている。これが上映できるのは日本だと大阪のエキスポIMAXだけ。2019年には池袋にも対応館ができる予定(早く完成してくれ)

 

閑話休題ここからふせったーの投稿内容も盛り込みつつネタバレです。

 

特報ではトニーのピンチに、満を持して駆けつけるスティーブたち……といった趣の編集になってましたが、これが完全なミスリードで、クライマックスが全く別の惑星で同時展開だったのはやられました。

てっきりスタークがハルクバスターに乗ってサノスと戦うものと思っていましたが、まさかバナーがハルクバスターに乗る展開とは。特報で走っていたハルクがブラフとは、思いもよりませんでした。

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スリードを誘うハルク

トニーのピンチに駆けつけるスティーブを期待していただけに、距離的に分断されたまま無情なまでの大敗北を喫するラストは衝撃でした。『シン・ゴジラ』では人の死を直接的に描かないことでかえって死の重さを演出していましたが、本作のラストも大量虐殺を静かに局所的に見せることで、かえって最大限の不気味さを醸し出していて見事でした。

個人的に本作の最萌えシーンはスティーブから受け取った携帯(しかもちゃんと充電してある)を肌身離さず持っているスタークだったんですが、まさかその後2人の絡みが一切見れないとは。

 

初日、劇場の帰りのエスカレーターにて「ルッソ兄弟前後編にはしないって言ってたのに! ふざけんな!!」と、声を震わせブチギレてるオタクを久々に見ました。気持ちは分かる(笑)。でも、サノスくんの受難に満ちたハラハラ世直しムービーとしては綺麗に完結したハッピーエンドなのでな……。エンドロール最後の「サノス・ウィル・リターン」で場内苦笑が上がってて笑いました。

サノスは許されざる大量虐殺者ですが、信念を持って悪事を働いているのが良かったですね。ハゲで娘と確執があって、人口抑制制作を断行って、なんだか『グレンラガン』のロージェノムっぽい。武人としての風格もあるので、ユニークな悪役になってました。テンプレ的な悪役ならば、タイタンでの決戦時にクィルへの精神攻撃とばかりにガモーラを殺した件をひけらかしたりしそうなのに、そんなそぶりも一切ありませんでした。

 

個人的に本作一番の不満は、タイタンでのクィルの暴走。あれはあまりにも非合理的すぎる。ただ、非合理だと思うのと同時に、とても同情的な気持ちも持ってしまうので複雑です。

あと少しでサノスのガントレットが外れるというところで、クィルは我を忘れて殴りかかり、サノスを起こしてしまう。この非合理的行動に対して、率先して止めに入ったトニーはその後一言もクィルを責めないんですよね。なぜなら彼もまた『シビル・ウォー』で感情が先行した不合理を働いているので。

クィルは本来合理的な性格です。ドラッグスが我を忘れてサノスに襲い掛かろうとしたときもすぐ説得側に回ったし、大義のため一度ガモーラを殺す決意までしていた。本来合理的な性格なのに、たった一度の不合理により気が付いたら負けていて、挽回のチャンスもないまま塵になり消えていく無常さ。

あるいは1400万通り以上の未来を見たストレンジならば、クィルの暴走を止められたのかもしれません。それをしなかったということは、あそこは未来の分岐点となるほどの重要な場面ではなかったのかもしれない。であれば、せめて殴らせてあげたのはストレンジなりの優しさだったのでしょうか。

親友たちの死を知ったロケットのことを思うと、つらぽよすぎて思考が止まってしまいます。

  

ワカンダにて、石の破壊を提案するビジョンと反対するワンダ、そしてそれを見つめるスティーブの視線が描かれるシーンも良かった。

ヴィジョンは、スティーブもかつては自己犠牲的行いをしたじゃないかと詰め寄っていました。でも、あのスティーブの視線は、過去の自分とビジョンを重ねているだけでなく、遺される側のワンダにも向けられてるよなあと思うのです。遺される側にも相応の痛みがあることは、『ウィンター・ソルジャー』などのペギーとのエピソードで嫌というほど描かれていました。

最後、ヴィジョンの亡骸に寄り添いながらサラサラと塵になっていくワンダが、ヴィジョンと同じ場所に行ける安堵感からか、どこか安らぎの表情に見えるのもまた辛かったですね。

 

目的を果たしたサノスがガモーラ(少女)と会話をするシーンは「ソウル・ストーンの中かもしれない」という説もあるようです。石絡みで消された生命は、魂が石に格納されるのでしょうか。そのまま石の力によって復活できると良いのですが。

ただ、生命の半数が死んでしまうという大災害なので、安易に蘇ったのでは興ざめしてしまいます。それ相応のドラマが求められることは、きっと作り手側も理解していることと思いますので、こちらの想像を超えるような完結編に期待。最後に登場がほのめかされた『キャプテン・マーベル』ともども、来年の完結編公開が待ちきれません。