「全エヴァ大投票」でアスカ>綾波だった件について

 NHKの「全エヴァンゲリオン大投票」でアスカが綾波よりも票を得た件について、多根清史さんが記事を書いていました。式波のツンデレヤンデレではない「良いやつ」としての側面が支持を得たのではないかという分析は面白いですね。

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 式波は個人的に「惣流が歩むことのできなかった可能性」込みのキャラという認識でしたが、そんな含意を無視して人気を得ているのであれば、それは彼女に取って幸せなことだと思います(何目線だよ)。

 

 ちなみにTLでアンケートを取ったところ、惣流人気が依然高かったことは申し添えておきます。300票弱なので、一般化はできない数字ですが。「大投票」では本当はこの辺のデータがほしかったんだよな〜〜〜。

 
 それはともかく、多根さんの記事で「2010年代から『綾波よりアスカ』の逆転現象は数々の人気投票で見受けられており」と書かれていた点にも少々補足を入れたい気がします。「大投票」放送時にツイートもしたのですが、実は1997年(旧劇場版後)に行われたラジオ「ゲルゲットショッキングセンター」の人気投票で既に「アスカ>綾波」という結果になっているんですね。この企画の投票総数は約4万6000票。詳細は書籍『井手功二のエヴァンゲリオン フォーエヴァー』で確認できます。

 
 深夜ラジオというややマニアックな投票層が影響したとも考えられます。とはいえNHKの投票総数が約11万票(4つの投票部門の合計)であるのを考えると、「ゲルゲ」の投票数も無視できない数字であることが分かると思います。
 他方で、90年代のキャラ人気が一般に「綾波>アスカ」だったのは概ねその通りではないかとも思います。1996年末発売のメタなドラマCD『「終局の続き」(仮題)』でも、綾波が「なによもうあのアスカっての、いつも人気投票ダブルスコアで負けてるからって根に持っちゃってさ」という印象的なセリフと共にビンタビンタビンタビンタしてましたね。

 

 雑誌『アニメージュ』の90年代のランキングを参照してみても「綾波>アスカ」の傾向は顕著です。みんな大好き「プリキュアの数字ブログ」のkasumiさんがまとめてくださったこちらの記事を参照したところ、『アニメージュ』の年間アニメアワードでは少なくとも1995年〜1997年と2007年で「綾波>アスカ」の傾向が確認できました。2007年は『ヱヴァ序』公開年ですね。

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1995年:綾波レイ1位/惣流・アスカ・ラングレー3位
1996年:綾波レイ1位/惣流・アスカ・ラングレー4位
1997年:綾波レイ5位
2007年:綾波レイ5位

 年間ではなく月間のランキングを調べ上げればもう少し詳細な変遷も分かりそうですが、図書館が閉まっているのを言い訳にして今回は割愛。

 

 さて「大投票」の番組そのものについてですが、企画の根幹部分には正直不満が残りました。多根さんの記事でも「NHKのまとめ方が『雑』なために信頼性が低い」との声が上がっていた件について、チクリと触れられていましたね。TLでも「あえて投票しなかった」という意見をちらほらと見かけました。

samepa.hatenablog.com

 

 とはいえ、番組では限られた時間内で「エヴァ」の作品性を伝えようと高水準な解説を連発した氷川さん。声優陣の深いキャラ理解に基づいたコメント。緒方さんの旧劇場版の思い出エピソード披露などなど、貴重なお話もたくさん聞くことができました。
 惣流アスカの不当なリストラを受けてか、宮村さんが「『アスカ・ラングレー役』の宮村優子です」と自己紹介し、惣流と式波両方の人気を受けての1位であるとコメントされていたのもうれしかったです。

 キャラランキングではリストラされてるのに、セリフランキングでは突然出てきていた


 リモート参加者多数の生放送で番組進行も大変そうでしたが、とりあえず無事に終わってよかったです。

 

 本来であれば『シン・エヴァ』公開までいよいよ1カ月を切った……というタイミングのはずでしたが、周知の通り公開の延期が発表されています。どうにか夏〜秋公開を期待したいところですが、こればかりはどうなるか分かりませんね。

 完全に余談ですが、『yom yom vol.61』鈴木敏夫さんがいろいろと庵野さん関連の発言をされていたので、エヴァオタ諸氏は買っておくと幸せになれると思います。特に宮崎監督の新作制作にあたり、鈴木さんが本田雄さんを引き抜くため庵野さんに直談判をしたエピソードや、『シン・ウルトラマン』のきっかけづくりに鈴木さんが協力しているといった証言が興味深かったです。このあたりは、あとあと庵野さん側からもお話を聞いてみたいところです。