『UFO学園の秘密 Part0』感想:『仏陀再誕』ほどではない

公開初日にユナイテッドシネマとしまえんで観てきました。


・『仏陀再誕』や『ファイナルジャッジメント』のときは映画館前に来ていたハピネス・リアリゼーション・パーティの選挙カーが今回は見られず残念。
・今作は山奥の全寮制の高校が舞台。『金田一少年の事件簿』だったら連続殺人が起こりそうな閉鎖的な空間。廊下にさとうふみやイラストの「いじめかっこ悪い」的ポスターが貼られている。
・習い事は校則で禁止されている。にも関わらず校内では「天才塾」と呼ばれる学習塾にこっそり通っている生徒たちがいると噂になっていた。ホームルームで教師が塾に通っている生徒がいることに激怒していて、閉鎖的な学校で怖いなと思ったが、ストーリーが進むと「天才塾」が悪い宇宙人(レプタリアン)による洗脳機関であることが分かってくる。学校の閉鎖性が肯定されるような描写に戸惑う。
・主人公達・チームフューチャー(超平和バスターズみたいなもの)は、学園祭で行う発表会用のテーマに宇宙人研究を選ぶ。客観的データとは思えないような資料ながら、プレゼン用のパワポを発表会当日までに頑張って作るのだが、レプタリアンの工作により、発表直前にデータが消されてしまう。それでもやるしかない!と、パワポも無しに「宇宙人はいます!」と全校生徒や父母の前で力説する主人公。当然全校生徒から嘲笑の的にされるし、僕も笑っていたのだが、基本的にここで嘲笑する側の生徒らは宇宙人や霊界について無知な地球人を象徴する存在として描かれるので、主人公に感情移入して世界の真実を理解しようとしない世間の不条理さに苛立つのが制作者の意図した正しい見方のはず。
・悪い宇宙人と敵対する良い宇宙人も出てくる。チームフューチャーの面々は良い宇宙人に連れられ、プレアデス星団やベガまで宇宙旅行をすることになる。「霊界」を通過すれば何光年も離れた星々へと移動できる!というアイデアはSF的オカルト的な面白みがあった。
・ベガで主人公たちは輪廻転生前の自分と向き合う。それまで進路や将来の夢に対して漠然としか考えられなかったチームフューチャーの面々は、「学校の先生になる!」「映画を作る!」「しっかり勉強してメイド・イン・アース1号機のUFOを作る!(国防のため)」「もっとちゃんと宗教の勉強をする!」と、輝かしい夢を見つける。ここが映画のクライマックス。
・地球に戻るとレプタリアンがサードインパクトっぽい現象を引き起こす。主人公たちは地球を救うため、レプタリアンが生み出したブラックホール的な空間(裏宇宙)に果敢に飛び込む。「天才塾」がある街のあたりにテレポートする主人公たち。しかし街は既に異空間となっていて、レプタリアンがゾンビ映画のごとく押し寄せてくる。絶体絶命のピンチに主人公は自分の秘められた力(輪廻転生前の姿)を開放。皆川亮二の『ARMS』っぽい形態に変身してレプタリアンをぶちのめす。
・チームフューチャーは良い宇宙人の導きのもと、「光の神」への信仰の力でサードインパクトを阻止する。五人揃ってお祈りする絵面が凄い。
・ラストに中国国家主席が電話で「ニーハオ……」とアメリカ大統領に不敵に語りかけるところで幕が下りる。タイトルに「Part0」とあるし、続編を作る気満々である。どことなくハリウッド版『ドラゴンボール』のような終わり方で味わい深かった。
・前作、前々作の『神秘の法』『ファイナルジャッジメント』からのトレンドとして、中国へのあからさまな敵意があったが、今作では中国軍だけでなく、アメリカ軍やロシア軍も悪い宇宙人から軍事技術の提供を受けていることが説明されていて政治的正しさを感じた。良い心を持った人や国は良い宇宙人との交信ができ、悪い心を持った人や国は悪い宇宙人と通じてしまうとのこと。国の心とは……深いですね。
・『仏陀再誕』の「悟りにチャレンジ」や『ファイナルジャッジメント』の「振り向けば愛」のような印象的な主題歌が無かったのは悔やまれる。しかし劇中のライブシーンで謎の英語の歌が流れたのは良かった。空野太陽先生やタターガタ・キラーのような強烈なキャラクターがいなかったのも大きな減点。
・『UFO学園』が「Yahoo!映画」で『マッド・マックス怒りのデスロード』を上回る圧倒的な高評価を受けていて驚いた(確認した時点で『UFO学園』が4.6点、『マッドマックス』が4.3点)。確かに主人公達が悟りを開いてからの怒涛の展開は楽しめたが、中盤を過ぎるまでの学園パートはひたすら単調で、観ていてかなり辛かった。流石に『マッド・マックス』以上とは言いがたいのでは。そう考えると、『仏陀再誕』のエンタメ性の高さは凄かったな。
 
ところで、パンフレットを買ったら、とんでもないチラシが挟み込まれていた。今度はまた実写新作なんですね。

検索したら既に主題歌がYouTubeにアップされていた。「悟りにチャレンジ」ぶりにインパクトある曲で、映画本編にも期待が膨らむ。


 

過去記事置いておきますね
『ファイナル・ジャッジメント』を100倍楽しむ方法(実質『仏陀再誕』の記事)
『ファイナル・ジャッジメント』サイコー!(布教)
『神秘の法』感想:『まどかマギカ』に興行収入で勝つだけはある面白さだった(迫真)