貞本エヴァ最終話感想

※ネタバレを含みますので単行本派の人はお気をつけ下さい

ヤングエース」の表紙が1話の夏服のシンジを連想させるので、本編扉絵でシンジが冬服を着ていたのには意表をつかれました。ページをめくると雪が降りしきっているので、そこでまた追撃を受けるという。
前々回の「STAGE.94 掌【後編】」で、砕けた巨大綾波が雪のように街に降り注ぐビジュアルが素晴らしすぎて、もうそこだけでボロボロ泣けたことからも、最終話で冬の場面を描かれたら無条件にやられてしまうだろう事は分かり切っていましたが、やはり来たかと。エヴァの世界に雪が降ってるのはもうそれだけで感慨深いものがあります。親切にも巻頭に掲載されている貞本さんと鶴巻さんの対談で説明されていますが、昔劇場版が作られた際、雪を降らそうという案があったものの、その時は実現しなかったんですよね。
前回、ユイが宿った初号機は両腕を広げたポーズで宇宙の彼方へと飛んで行きましたが、今回電車から見えた「遺跡」はそんなユイや、綾波の記憶の象徴のように感じられました。それに夏から冬に移り変わったあの世界観自体、それまでの『エヴァ』の記憶を蓄積しているように見えて良かったです。
というか前々回、貞本さんは綾波に「碇君 私は 砕けて 散って すべてのものに降りそそぎ 待っている あなたが 還って来るのを」と言わせてましたが、あのアヤナミストの頂点に君臨してる感じはやばい。貞本さんの脳内はそんじょそこらのアヤナミストとは妄想の次元が違うんだろうなと。前々回は頭の隅で冷静にそういうことを考えながらボロボロ泣くという、なんだかよく分からない状態になってました。
それと、これは色んな所で言われそうな予感がしますが、最終話でエピローグ感漂う中、冬服を着た状態でアスカとばったりというのは、なんかもうそれだけで『RE-TAKE After』を連想してしまいました。冒頭でシンジが携帯電話を持ちながら歩いてるのが、『RE-TAKE After』でガイドマップ(?)を持ちながら歩いてるシンジっぽかったのも、それに拍車をかけてるのかも。まあ、だから何ということもないですが。
あとは最終話にちゃっかり出てくるケンスケにホッとしたり、お祝いメッセージの大月Pのコメントに笑ったり。本田さんのお祝いイラストの『Q』パイロット三人組のポンコツ感も良かったですね。
 
貞本エヴァは、特に終盤に入ってからは『EOE』に近づきすぎず、離れすぎずという難しい距離感を保った、とても「面倒」な連載になっていたと思いますが、よくぞ最後までやりぬいてくれたなと。貞本さん本当にお疲れ様でしたという感じです。ヤングエースのインタビューでは『アルカイックスマイル』の続きを描く気まんまんといった雰囲気でしたが、『蒼きウル』の漫画版も描く予定らしいのに大丈夫なのでしょうか。その他にも過去の短編の単行本化とかいつになったらしてくれるんd(ry……。なんにせよとりあえず本当にお疲れ様でした!