話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選

karimikarimiさんが2010年からやっている企画ですが、今年は便乗してこのブログでもやってみたいと思います。「新米小僧の見習い日記」さんが毎年集計をされている模様。
「話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

ルール
・2011年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につきなるべく上限1話。
・思いつき順。順位は付けない。

 
というわけで僕の今年印象に残った10のエピソード。

ブラックロックシューター 第6話 「あるはずもないあの時の希望」
坂道のアポロン 第7話 「ナウズ・ザ・タイム」
ジョジョの奇妙な冒険 第11話 「ゲームの達人」
新世界より 第5話 「逃亡の熱帯夜」
戦国コレクション 第5話 「Sword Maiden」
武装神姫 第1話 「大切なもの見つけました。」
神様はじめました 第1話 「奈々生、神様になる」 
夏色キセキ 第1話 「11回目のナツヤスミ」
ガールズ&パンツァー 第4話 「隊長、がんばります!」
ハンターハンター 第35話 「セイカク×ナ×ゴウカク」

以下、それぞれについて簡単なコメント。
 
ブラックロックシューター 第6話 「あるはずもないあの時の希望」
脚本:岡田麿里 絵コンテ・演出:大州鶴太郎、雨宮哲 作画監督:佐古一哉

「居心地の悪い空間」を描かせたら岡田麿里の右に出る者はいない。『ブラックロックシューター』6話のサヤちゃん先生(保健の先生)宅の描写はまさにそれ。主人公のマトがサンジゲン今石バトルワールドから帰ってこれなくなり、焦った友達のユウがマトを学校のメンヘラカウンセラー宅まで担いでくる。気絶したままのマトを見るなりカウンセラーは全力で取り乱し、とりあえずユウにビンタをかます。ついでに「いっそマトを殺したほうが良いのでは?」とか提案しだす。設定上何がどうなって主人公が気絶してるのかとかぶっちゃけ視聴者には分かってないが、とにかくヤバイ状況だということだけは伝わってくる。しかし状況以上に登場人物達のヤバさが際立つので、「その場にいたくない」という感覚が先立つ。「あー、この部屋には行きたくないなー」という感覚は他のアニメではなかなか味わえない。

 
坂道のアポロン 第7話 「ナウズ・ザ・タイム」
脚本:加藤綾子 絵コンテ:松尾衡 演出:出合小都 作画監督:Cindy H.Yamauchi

ヤバい空間の演出力といえばアポロンも凄かった。特に学園祭での演奏シーンは鳥肌もの。原作が少女漫画ということもあってか、本作にはいちいちホモホモしさが漂っている。演奏時の作画や演出のレベルは非常に高く、全編に漂う軽いホモホモしさは演奏時に限り「濃密なホモ空間」として強調される。主人公のボンと千太郎は普段レコード屋の地下という密室でセッションを行っている。密閉された空間での演奏ではその場でしかありえないテンションが感じられ、観ていてこちらまでテンションがおかしくなる。そんな二人が学園祭という、日常と非日常が交差する場で演奏を行う7話はさらにヤバイ。それまで密室に限られていた二人の関係性がオープンな場に解放され、喝采を受ける。謎のカタルシス。「凄いことになってるらしい、見に行こうぜ!」と演奏ホールに駆けて行く生徒達の作画も印象的。
 
ジョジョの奇妙な冒険 第11話 「ゲームの達人」
脚本;猪爪慎一 絵コンテ・演出:米田光宏 作画監督:宝谷幸稔、小澤円、かどともあき、Shin Hyung Woo

ジョジョの中で1、2を争うくらい2部が好きなのだが、そうした好きな部分が炸裂してた11話。2部自体は10話から始まったけど、テンポなどの関係なのか、面白いと感じたのは10話から。ジョセフのひょうひょうとした性格が良く出てたと思う。コンテの米田さんはシャフト出身で、新房監督の影響受けてるらしい。作画wikiでは氏の代表的な仕事として『修羅の刻』のOPが挙げられていたけど、見てみると影絵アクションがとても印象的。ちょうどジョジョ11話から流れるようになった第2部のOPも影絵のアクションが印象的だったけど、米田さんがそちらにも関わった影響だろうか。ちなみにジョジョのOPはどちらも神風動画が制作しているが、1部と2部でスタッフが異なる模様。
 
新世界より 第5話 「逃亡の熱帯夜」
脚本:浦沢広平 絵コンテ・演出:山内重保 作画監督羽山淳一

1カット目の青い山から雲へのpanの「山内入りましたー!」感は異常。僕が山内演出苦手というのは以前メリーちゃんのときに書いた。しかし山内演出が飛び道具として抜群の効果を発揮することがあるとピングドラムで思い知ったので、新世界よりでは結構期待していた……のだが、結果としてはメリー寄りな苦手な感触だったかな。しかし慣れとは恐ろしいもので、今年は他にもいくつか山内作品を観ていたこともあり、段々あの独得なリズムに耐性ができてきた気はする。実際この6話も楽しめた部分が多かった。新世界よりは10話にも山内回があるけど、そちらはまだ未見。近い内に最新話まで追いつく予定なので、10話も楽しみにしてる。

 
戦国コレクション 第5話 「Sword Maiden」
脚本:金澤慎太郎 絵コンテ:柴田勝紀 演出:金子伸吾 作画監督:進藤優

戦コレは一話完結形式でひたすらバリエーション豊かなエピソードが続き、毎週楽しみにしてた。中でもこのフェイクドキュメンタリー回には驚かされた。露骨にマイケル・ムーアっぽいオッサンが出てきて、戦国武将についてのエセドキュメンタリー番組を撮るという、『華氏911』パロ。8話のおにぎり回は2012年のアニメを代表するアヴァンギャルドな一本だったと思うが、キャッチーさのためか、こちらが先に浮かんだ。なんでもありの楽しいアニメだったので僕はいつまでも2期を待ってます。
 
武装神姫 第1話 「大切なもの見つけました。」
脚本:横谷昌宏 絵コンテ:菊地康仁 演出:大野和寿 作画監督江畑諒真

紙一重で性犯罪者にしか見えない主人公のキャラクター造形に衝撃を覚えた。一見無個性なハーレムアニメの主人公なのだが、よく見ると目が完全に死んでる。本作はフィギュア達視点のお話なので、本来コイツを主人公と呼ぶのは相応しくないのかもしれないが、存在感は間違いなくぶっちぎり。フィギュアの女の子達がやたらフェティッシュに描かれるが、この主人公の存在のおかげで作品の病んでる感じがグッと引き締まる。
 
神様はじめました 第1話 「奈々生、神様になる」
脚本・絵コンテ:大地丙太郎 演出:山本泰一郎 作画監督山中純子

ハイテンション過ぎる1話。大地監督のアニメを殆ど見てこなかった身としてはかなり新鮮だった。
 
夏色キセキ 第1話 「11回目のナツヤスミ」
脚本:浦畑達彦 絵コンテ・演出:木村隆一 作画監督:本村晃一、渡部里美、濱津武広

先にブラックロックシューターの居心地の悪い空間について触れたが、夏色キセキ1話のギスギス感もなかなかのものだった。「どうして部活の朝練来ないんだよ」という凄く地に足ついたギスギス感。1話では話自体がそこまで面白くなく、なんだかなーと思いながら最後まで見ていると、かなり唐突な形で話がぶっ飛ぶ。それまで地に足ついた話だったのに、キャラクター達が(文字通り)飛んで行ってしまうという……。深夜の眠い時間帯に観ていたが、最後のシーンで一気に目が覚めた。
 
ガールズ&パンツァー 第4話 「隊長、がんばります!」
脚本:吉田玲子 絵コンテ:水島努 演出:柴田彰久 作画監督:伊藤岳史

3話で寝坊した友達を起こすのに住宅街で戦車の空砲をぶっ放したのにも笑ったが、4話の戦車による戦闘の衝撃はそれ以上。「戦車道」という異様な競技が街中で極めて自然に行われていて、パト2とはなんだったのかとか考えさせられる。去年のBLOOD-Cに続き、Anotherにガルパンと水島監督実にノリノリ。
 
ハンターハンター 第35話 「セイカク×ナ×ゴウカク」
脚本:広田光毅 絵コンテ:西村聡 演出:松村政輝 作画監督:森智子

天空闘技場のゴンvsヒソカの回。ヒソカ戦は旧テレビアニメ版のアクションも凄かったけど、新版はそちらと比べても遜色ないデキだった。47話のクラピカvsウボォーギンのアクションもよかった。ただしクラピカに関しては旧版の方が圧倒的に中二病で格好良い。
 
 
きちんと追ってるアニメの絶対数が少ないので10本はなかなか簡単には浮かばないものだなー。しかし思い返してみると今年も楽しいアニメが多かった。来年も多いといいな。