『エヴァ』テレビ版感想:24話 僕に優しくしてよ!

カヲル君登場回。あらためて観るとシンジのデレ方が殆ど二次創作のレベル。
 
第24話、「最後のシ者」
 
■カヲル関連
・家を失ったトウジ達は第3新東京市を出ていってしまった。シンジは綾波にもアスカにも会う気になれない。エヴァパイロットを続けるにあたってのモチベーションを見失う。手のソワソワした動きがそんな心情を表している。そこに某幾原邦彦がモデルのキャラが登場…。

・カヲルに優しくされてコロっとデレるシンジ。

この優しくしてくれるなら誰でも良い感じがリアル。前回ミサトがシンジの手を握ろうとしたり、ペンペンに声をかけたりしてたのや、以前アスカが加持にかまってもらえずシンジで欲求不満を発散しようとしていたのに近い。このように一部のメインキャラが根底にかまってちゃん気質を共有しているのはコアに庵野さんがいるから。
そういえばこうしたかまってちゃんキャラに対して、綾波はシンジとゲンドウに一途だよな。庵野さんも常々「綾波というキャラがよく分からない」と言っていたな。
・シンジのウジウジした寂しがりやな性格を「ガラスのように繊細だね、得に君の心は。好意にあたいするよ」「好きってことさ」と全肯定してくれるカヲルきゅん。シンジきゅんを瞬殺しにきている。
庵野さんが幾原さんと温泉旅行に行ったという話、何かのイベントで関係者が話していたのは聞いたけど、そういえば文献などで詳しく確認したことがない。この場面でのシンジとカヲルと近い会話が交わされたという噂だが果たして…(笑)。聞いた話では以前発売された「カヲル本」の幾原インタビューで触れられているらしい。買う買う言いつつまだに買えてない。明日ちょっと本屋行ってくるか。

ALL ABOUT 渚カヲル  A CHILD OF THE EVANGELION

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・カヲルは風呂場で
「他人を知らなければ裏切られることも、互いに傷つくこともない。でも寂しさを忘れることもないよ。人間は寂しさを永久に無くすことはできない。人は一人だからね。ただ忘れることができるから、人は生きて行けるのさ。」
と、シンジの手をにぎる。この後「好きってことさ」という台詞や、「僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」といった台詞なんかも飛び出る。カヲルも本質的には根暗野郎で、本気でシンジに共感、一目惚れしていたのだと思う。ただ1話で出てきて1話で死んで行くキャラクターなので、感情移入するのはなかなか難しい。貞エヴァはそこを補完する面もあったが、『Q』ではどういった描き方になるのだろう。
 
■その他気づいた点
・シンジとアスカが家出してるので、家で手持ち無沙汰なミサト。
「シンジ君もいまだ戻らず…。保護者失格ね、私。」
え、まだ保護者のつもりでいたんですか!?
・爆発に巻き込まれる恐れがあるので、翌日から洞木さん(委員長)家におせわになるのよと、ペンペンに語りかけるミサト。

ペンペンが委員長の家に預けられるという話はすっかり忘れていた。トウジの一件以降、シンジとクラスメイト達の関係がぷっつり切れてしまうのが僕としてはわりと不満なのだが、彼らは一応コンタクトが取れる範囲にいるのだな。
一応19話「男の戦い」ではシンジが第3新東京市を出ていくと聞いたケンスケが電話をかけてくる場面はある。しかしケンスケはそこで「なぜいまさら逃げるのか」「俺はお前が羨ましかった」等、4話までの気配りが見る影もない無神経な問いかけに終始する。「トウジすらエヴァに乗れるのに」とも言っていることから、トウジのケガの件を知らなかったのだろうか。でも委員長はお見舞いに行ってたし…。ケンスケは18話でもシンジに余計な情報を教えて、シンジのミサトさんへの不信感を煽っていたし、案外序盤に比べて性格描写がブレてるキャラな気がする。「根は良いやつ」という範囲でブレさせたということなんだろうけど。
・カヲルを殺してしまい、落ち込むシンジ。

シンジ「始めて人から好きだって言われたんだ。僕に似てたんだ。綾波にも。好きだったんだ。生き残るならカヲル君のほうだったんだ。僕なんかよりずっと彼のほうが良い人だったのに。カヲル君が生き残るべきだったんだ。」
ミサト「違うわ。生き残るのは、生きる意思を持ったものだけよ。彼は死を望んだ。生きる意思を放棄して、見せかけの希望にすがったのよ。シンジ君は悪くないわ。」
シンジ「つめたいね、ミサトさん。」

ねー、つめたいねーwここでミサトの人間哲学をシンジに言い放ったところで何にもならないのに。まず共感から入ってくれるカヲル君とは大違いです。
 
次回予告。「最後の使徒は消えた。だがシンジは苦悩する。そして、ミサト、アスカも心を吐露する。人々に救いを求めながら。これも終局のひとつの形であることを、認めながら。次回、「終わる世界」。」
DVDには劇場版25話「Air」の予告も直後に収録されている。「最後のシ者は倒した。だが、現実に対処できないシンジは固く心を閉ざしてしまう。そして、約束のときが来る。迫り来るネルフ全滅の危機。死の淵へ追い詰められるアスカ。レイと共に発動へと導かれる人類補完計画。己の現実に抗い、夢を受容する人々の頭上に、エヴァシリーズが舞い降りる。暴かれる欺瞞をあざ笑うかのように。次回、「Air」。」
確かにここに来て突然「終わる世界」を見せられたら、当時のファンが怒るのも無理はない気がするw 「終わる世界」と「世界の中心でアイを叫んだけもの」はわりと「まごころを、君に」のまんまなんだけど、間に「Air」に相当する「つなぎ」の部分が抜け落ちてしまってるんだよね。
そんなわけでつづく。
・次回感想→『エヴァ』テレビ版感想:25話 シンジ≒ミサト≒アスカ≒アンノ
・全話感想もくじ→『エヴァ』テレビ版〜旧劇場版/『新劇場版:Q』全感想目次