『エヴァ』テレビ版感想:4話 第一部完!

連続更新、途切れたらそのままずるずると行きそうなので頑張って書く。
 
4話「雨、逃げ出した跡」
 
・「シンジくーん。起きなさーい。いつまで学校休む気ぃ?もう五日目よ?」ミサトさんUZEEEEEEEEE!!!!!
「家出か……無理もないわね」この保護者失格っぷり。
・訪ねてきたトウジとケンスケに引き取ってもらった直後、「シンジのバカ!」とドアを蹴るミサトさん。昔から素朴な疑問だったけど、ドア蹴飛ばしたらトウジ達に聞こえてしまうのでは?僕は、ネルフ職員が住むアパートは実は凄いハイテクで完全防音なのだと思うようにしているが。

・『破』でやたらSDATの「25」「26」がループしてることが取り沙汰されたけど、「それテレビ版の頃からそうだったから!にわか乙!」と言って場の空気を悪くする人がちょくちょくいて心がポカポカしますよね。


・一日中電車内でぼーっとしてるシンジくん。思いつめまくり。自分は中学生の頃もっと脳天気に生きてたなぁ。
・シンジ「リア充爆発しろ!!」



レイプ目になるほど落ち込んでたのに、リア充への憤りで現実の糞さを再確認し、生起を取り戻すシンジ。そういえばアベックの女の子のほうは声優がみやむーなんだっけ。テレビ版は主要キャラの声優がちょい役であちこち出ていて楽しい。
・朝日が怖すぎ。こんな本気で鬱々としてるガキをそのまま放置するネルフの組織としてのゴミっぷり。パイロットなんて一番代えがきかないんだからちゃんとケアしろよ。

・ひとりサバゲー(?)に興じるケンスケ。一瞬見せる虚しそうな表情が良い。ハイテンションな部分と静かな部分を演じ分けてる岩永哲哉の演技も良い。

・シンジとケンスケの触れ合い。「俺、(母親とか)そういうのいないから。碇といっしょだよ」。ケンスケの母も既に亡くなっていることを知り、驚いた表情をするシンジ。徐々に心を許していく。ケンスケは雑談がてら、トウジが妹に「パイロットを殴るとは何事だ」と叱られていたエピソードを持ちだしていたりして、シンジとトウジを仲直りさせようとしてるんだよな…。ケンスケ目立たないけど本当に良いやつだ。
・本部に連れ戻されてミサトと会話するシンジ。「本当はエヴァに乗りたくないが、求められていて仕方ないので乗ります」と、投げやりな態度のシンジに、「そんな気持ちで乗られるのは迷惑」と突き放すミサト。
シンジはAパートの電車内で「帰らなきゃ」という一言をぽつりと洩らしている。その時は帰れる場所が無いので映画館などを転々としていたが、彼が安息できる場を求めているのは明らか。それなのにミサトからはあっさり出ていけと言われ、ショックを受ける。持ち前のコミュ障っぷりでつっけんどんな態度を取っていたので自業自得とも言えるが。
・「碇がおらんのやったら、いずれワシらもこの街から出ていかんならんようなるやろ。せやけど、ワシら何も言われへん。エヴァの中で苦しんでる碇の姿見てるからな。碇のことゴチャゴチャ抜かすやつがおってみい、わしがパチキかましたる!」
シンジの境遇に理解を示してくれるトウジ。ケンスケとの触れ合いに続き、心を開きかけてる感。瞳の揺れと、殴った右手の微かな震えで感情の高まりを効果的に演出している。


・「殴られなきゃならないのは僕だ。僕は卑怯で、臆病で、ずるくて、弱虫で…」言葉はトウジ達にぶつけられているのだが、その実、シンジがミサトとうまく対話できなかったことへの悔しさがにじみ出ているように見える。
・ミサトは「ハリネズミのジレンマ」の言葉をきっかけに、シンジのコミュ障な性分に改めて気づき、駅までやってくる。これに対しシンジも、2話ラストでミサトが掛けた「頑張ってね」という言葉を受け止め、駅に留まることを選ぶ。一応はシンジの気持ちを汲んであげられるようになったミサトと、それまでよりは多少素直になったシンジ。
「ただいま」「おかえりなさい」
 
         終劇 
 
 
……じゃなくてまだまだつづく。
・あれだけ時間厳守でシンジを電車に乗らせようとしていたネルフのSP達はどこへ消えたんだ!?ちゃんと電車に乗るところまで見届けるよ!…とか野暮なツッコミをしてはいけない。こうした割り切った面白さ第一主義はとても応援したくなる。結果的に凄い熱を帯びた作品になっているのは確かなので、「拙さ」とはきっちり区別したいところ。
・4話はシンジの成長が描かれると共に、ミサトがそれまでの保護者失格っぷりに部分的に気付き、両者が仲直りをする回。部分的に、と釘を刺したのは、ミサトはあくまで「シンジのコミュ障っぷりに気づいてあげた」気持ちでいるのであって、「シンジのコミュ障っぷりに気づいてあげられなかった」事をそれほど反省している様ではないと感じるから。そこにちゃんと気づいていれば、後にシンジやアスカとの共同生活があそこまで悲惨になることは無かった気がする。
・最後の演出があまりに情緒的で感動的なので、シンジにはこのままつかの間の幸福に浸らせていてあげたくなる。4話は本当に良い回だ。
・次回予告「他人との接点を最小限に留め生きていく少女、綾波レイ。その彼女が、唯一心を開いている人物は、碇司令だった。自分よりも父親に近い少女に、シンジは戸惑う。心の収束を待たずして、第5使徒の放つ光が、エヴァ初号機の胸を焼く。シンジの絶叫が、ミサトに響く。次回、「レイ、心のむこうに」。」
シンジの物語に一段落ついたところで、次は綾波。本当に1話1話着実にやるべきことをやっていて素晴らしい(当時のメインスタッフのインタビューを読むと、6話までに綾波との親睦を深め切ってしまったのは失敗だったという話も出てたりするのだが…)。個人的な感触としては、アスカが出てくるまでは本当に良くバランスが取れてるように感じるんだよ。それがどの辺から狂ってくるんだっけ。いつも観ている内にだんだん自分のテンションも変になっていくので、今回はなるべく冷静に見届けてみたい。
 
というわけで次回に続く。
・次回感想→『エヴァ』テレビ版感想:5話 途中何度も散見されるモチーフ
・全話感想もくじ→『エヴァ』テレビ版〜旧劇場版/『新劇場版:Q』全感想目次