『エヴァ』テレビ版感想:3話 既にネガティブオーラ増大傾向

あれもこれも押さえようとするから疲れてしまうんだよな。なるべく簡潔に書いていこう。
 
第3話「鳴らない、電話」
 
・そういえば「目標をセンターに入れてスイッチ」も「手」だった。

・猫の小物と大量のタバコの吸い殻。リツコの描写はシンジやミサトに比べると少なめだけど、こうしたさり気ないところでキャラを印象づけてる。

・二週間学校に来てないトウジ。委員長にプリントを持っていけと言われてたのに、忘れていた様子のケンスケ。トウジやケンスケ、委員長が仲良くなるのってシンジやアスカが来てからだっけ。それともキャラ同士の距離感というよりは、単純にケンスケの性格を描写しただけか。
・後ろでシンジについての噂話をするトウジとケンスケ。シンジの聞こえてるのかどうか分からない感じが良い。授業中に他のクラスメイトに「パイロットという噂は本当か」と聞かれて素直に答えてしまってるのを見ると、本当に聞こえてなかったんだろうけど。トウジに疎まれてる分かってたら名乗り出なかったろうから。シンジが質問攻めにあってるのを横でメモ取ってるケンスケが面白い。
綾波の圧倒的オーラ。

・新劇場版ではジャカジャカBGMが流れてるけど、テレビ版は全体的に静かな印象で、テレビやラジオから流れてくる音声、蝉の声、静かなピアノ曲などが静かに流れていることが多い。作戦シーンでは印象的なBGMが使われていて、メリハリが出ている。『序』を観たときに一番違和感があったのが、BGMの過剰なゴージャス感。あれは総集編のような感じを紛らわす効果もあったかもしれないけど。『破』ではBGMの過剰さに磨きがかかっていて、あれはあれで一つの芸の域に達してる気がする。『Q』ではどうなるのか。
・「父さんもいないのに、なんでまた乗ってんだろ。人に殴られてまで」
エヴァ』はセカイ系とよく言われるけど、ボクとキミの物語というよりは、当初は親父とうまく行ってないのが一番クローズアップされたんだよな。途中からもっとぐちゃぐちゃした感じになってくけど。
・昼の戦闘だと特撮っぽさが増した感じがする。

・2話の「まさか自爆するつもり!?」と「バカ!爆炎で敵が見えない!」のカットが凄く似てるのがずっと印象に残ってたけど、こうして比較すると角度が微妙に違ったりするのね。ただやはり同じ原画を使ってたのか。よく見ると後ろのキャラの配置やミサトの汗の有無といった違いもある。左が2話で、右が4話。

・ミサト「シンジくん、そこの二人を操縦席へ!二人を回収した後、一時退却。出直すわよ」 リツコ&マヤ「(何いってんだこいつ)」

表情に笑ったww 二人を操縦席に乗せる必要性全く無いのではないかというのは何回観ても思うが、話を動かすために神の見えざる手を率先して突っ込んで来るのがエヴァ。結果的に面白くなるので許せる。「下手に動いて踏み潰すよりは、乗せるだけ乗せて逃げた方が生存率が高くなるから」等、屁理屈で説明できないレベルでもないし。
本当はリツコの「何いってんだこいつ」は、「許可の無い民間人をエヴァに乗せること」に対してなのだが、話の流れ的に上記理由でポカーンとしてるようにしか見えないのが笑える。ちなみに、トウジとケンスケがどうやってエントリープラグに入ったのかは長年謎のままだったが、『序』で電動のハシゴが描かれたことでやっと解明された。…いや、ハシゴで登ってる間に山に逃げろよ。
・退却せずにそのまま独断でシャムシエルに突っ込むシンジ。ここでも「逃げちゃダメだ」が出てくるが、ここでの「逃げちゃダメ」が何に対しての「逃げ」なのか、未だにしっくりつかめない。切羽詰まった状況に置かれて半狂乱になっただけにも見えてしまうんだけど、シンジなりのロジックがあるようにも見える。
しかし特攻後に嗚咽混じりに泣き崩れるシーンを見ると、重要なのはシンジの思考を厳密にトレースすることではなく、エヴァに乗ること、現実と体面することがいかにシンジにとって重荷となっているかを理解しておくことだと分かる。トウジやケンスケがここで搭乗させられたのは、物語の都合上、シンジの孤独さや重圧を理解してくれる人間が必要だったから。
・次回予告「鬱陶しい雨の中、自分の心を克服できないシンジは、ついにミサトからも逃げ出す。14歳の子供に、それは無理もなかった。目的を持たず、さまようことしか知らないシンジを、組織は連れ戻す。そこに優しい言葉は無かった……二人の少年を除いて。次回、「雨、逃げ出した後」。さーて、この次もサービスしちゃうわよ」
次回予告の時点で、トウジとケンスケとの和解がほのめかされている。全体として見ると『エヴァ』は先の読めなさも大きな見どころだったが、序盤はこうしてドラマが着実に積み重ねられている感じがして、また別の面白さがある。
・企画書段階ではサブタイトルは「鳴らない、電話」ではなく「はじめてのTEL」。内容も、「シンジの転校。そこで出来る、初めての親友。第3新東京市での大規模な迎撃作戦。」という、わりと普通なもの。ドラマが着実に積み重ねられているとは言っても、既に当初の予定よりはネガティブオーラが増大してきていることが伺える。
そういえば今回も2話に続いてミサトとリツコが電話でお喋りしているシーンが出てくるが、ネットや携帯が普及する前の時代感覚が現れていて良い。
 
というわけで次回に続く。
・次回感想→『エヴァ』テレビ版感想:4話 第一部完!
・全話感想もくじ→『エヴァ』テレビ版〜旧劇場版/『新劇場版:Q』全感想目次