映画『アシュラ』がとても良かった

『アシュラ』、忍之閻魔帳さんが絶賛されてるのを見て、先週末映画館に行ってきました。

この映画を既存のアニメで例えるなら
墓場鬼太郎」なテイストで「おまえうまそうだな」に匹敵する命の大切さを描き
MIND GAME」級のインパクトを与えてくれる作品、といったところか。
私的に「アシュラ」は「マインド・ゲーム」以来の衝撃作だった。

命を喰らい、命を繋ぐ。映画「アシュラ」紹介、他|忍之閻魔帳

予告編を見てもピンと来ず、下手をするとスルーしてしまうところでしたが、これは本年度これまで観てきたアニメ映画の中で一番の驚き。世の中の不条理やままならなさ、「人」とは何か、生きるとはどういうことか。考えさせられました。

ピンと来ない予告編
 
僕は原作を読んでいないのですが、原作に含まれていたと思われる仏教的な価値観を逃げずに描いていたのも、作品に迫力を与えていたように思います。下手をしたら説教臭くなったり、宗教アニメっぽくなったりしそうなものですが、本作がそうはならなかったのは、それだけ伝えようとする物語に迷いが無かったためでしょう。パンフレットによると本作が完成するまでには相当な紆余曲折があったと説明されていますが、とてもそうは見えませんでした。
国産CGアニメにはそれほど良いイメージが無かったため、本作を観る前は特にビジュアル面が心配だったのですが、それも杞憂でした。人物は3DCGで描かれていますが、背景などは従来のセルアニメの延長のような作られ方をしていて、全体として非常に美しい印象を受けます。個人的に普通のアニメでは撮影で効果をつけすぎた画面はあまり好みではないのですが、この作品の場合はそうした演出に意図が感じられたり、単純に画面が美しく感じられたため、効果的だったように思います。
殺伐とした世界観からすると、妙にアニメアニメした林原めぐみキャラなどには違和感を感じましたが、それも見進めていくと理由あってのものだと分かり舌を巻きました。


世界観からすると妙にアニメアニメした林原キャラ
 
上映時間は75分とコンパクトですが、全編無駄の無い構成で、そうした積み重ねが集約されていくクライマックスは圧巻です。公開規模が大きくないため、劇場での上映はわりと早く終わってしまうと思うので、気になるひとは時間を見つけて早めにご覧になることをおすすめします。