あぷりぼわぜぇぇぇえええええええええ!!・・・・・アレ? : 輝きのタクト4話感想

 今回はワコとタクトが不思議世界に迷い込んで一緒にイカの刺身を回し食いするお話!(微妙に違う)
 アバン(?)でメガネっ娘メイドが薬飲まされて内情を引き出されるシーンやサカナちゃんにクルクルまとわりつく鎖の演出がとってもウテナ!素敵!他にもワコが非日常に迷い込んでしまった描写とかが凄く良かったなー。個人的に「あれ?町がおかしいぞ?!」っていうパターンだと押井監督的なもっと不気味なものが浮かぶんですが、今回の話はメロンパン食べながら「なんか嫌なカンジだな〜」とか言いつつ海辺でルンルン歌っちゃったりしててなんだかメルヘン。終いには砂浜で王子様(星のw)が座って待ってくれてるという。タクトの「やあ」からOPへの入り方も気持ち良かったです。
 それにしてもここまで積極的にヒロインを口説きにかかるロボットモノの主人公っていただろうか。アバンの演劇部の歓迎会でワコに流し目攻撃しまくってみたり、秘密を共有してみたり、「ときめくじゃん」とか言ってみたり。極め付けに「君と二人のこの世界は、僕の願望だったのかな」とか言っちゃったり。なんだこの見てるこっちが恥ずかしくなるような青春っぷりw。しかしこの辺の積み重ねがあるおかげで最後の「やつらのサイバディは全部僕が破壊する」の説得力&かっこよさが際立つわけですね。タクトが最後のキメ台詞を発する際にガヤや海の音といったSEが消されてる演出も決まってた。

 今回の第4話はパッと見ると前回までの「Bパートに敵と対峙→バトル」の流れからは外してきていて、一種の省エネ回にも視聴者の飽きを予防するためのクッション回のようにも見えるんですが、個人的にはバトルが無くとも前回までと同種のカタルシスが感じられて大変面白かったですね。というのも、不思議空間に“閉じ込められた”時点でタクト達は一種の攻撃にさらされてると言えるわけですが、その攻撃を「本当に大切なものは目に見えない」という『星の王子様』屈指の名言を引用しつつ、不思議空間の壁を破壊し、ロボを召喚する。新たに登場した敵との前哨戦としては、これできっちり雌雄が決していると思うわけです。
 もう一つ『星の王子様』ネタで思いついたのが、ワコが歌手になる夢を諦めなければならなかった事に関して。『星の王子様』を読んでいるとかなり早い段階で出てくるテーマとして、「子ども←→大人」の対比というのがあります。乱暴に要約すれば、子どものころには見えていたのに、大人になると見えなくなるものがある、というものです。書内では「子ども→大人」への変化というのはしばしば「大切なものを“忘れてしまった”」ために起こる、といった言い方がされます。つまり、人には社会の中で生き、歳を重ねるうちにかけ落ちてしまうものがあり、その結果、大人になった人は何が大切なものであるのか分からなくなってしまうというのです。
 ところが今回のワコの話を見てみると、どうも彼女にはこの大切なものを「“忘れて”大人になる」ことすらできないようなのです。子どものうちに夢を諦めざるを得ない状況に陥り、大人になることを強制させられている。『星の王子様』的には「賢くて輝いているのが王子様(=子ども)」であり、「盲目で愚かなのが大人」なわけです。なので「女の子が子どもの内に大人になることを運命付けられている」のが良い状態であるわけが無いのです。銀河美少年的に考えて。そしてどうもそれはワコの許婚であるスガタも思っている事のようです。ワコと二人の「美少年」が今後どのような行動に出るのかますますもって目が離せませんね。