『コードギアス 復活のルルーシュ』ネタバレ感想 10年遅れの優しい夢

 絶対にネタバレを踏みたくなかったため、無理を押して初日・新宿バルトナイン23時50分の回で見てきました。終電過ぎの時間帯にもかかわらず劇場は超満員。上映30分前に確認した際、空席は最前列の数席を残すのみでした。

 記事タイトルにある通り、未見の人を考慮した書き方になっていないため、ネタバレが気になる方は本編鑑賞後に目を通されることをおすすめします。

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新宿バルトナイン 雪がぱらぱら降っていて寒かったです

 

 さて、率直な感想ですが、「自分の見たい続編ではなかった」というのが第一印象です。理由は単純で、この新作は劇場総集編3部作を下地にした別世界線の物語であり、自分が見たかったのはテレビ版の続きだったから。

 

 総集編3作目の『皇道』を見終えた際、シャーリーが生かされる物語的・倫理的意味合いが見いだせなかったものの、その答えは完全新作『復活のルルーシュ』で描かれるのかもしれないという希望を持っていました。実際『復活のルルーシュ』ではある意味、前者の「物語的な理由」についてははっきりと示されていました。すなわち、これが別世界線であるという象徴としての意味合いです。

一番大きいのはやはりシャーリーの生存ではないかと思います。これについてはどういった狙いがあったのでしょうか?

谷口:TVとのわかりやすい変更点を一つつけることでTVシリーズとは別物だとメッセージが出せるということ。そして、物理的な問題としてもう一つ。それは尺、全体の長さの問題ですね。無論、勝手に変えるわけにはいきませんから、プロデューサーと大河内さんに「こうした理由でシャーリーを生き残らせたいと考えているけどどうだろう」と確認をとりましたね。

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 正直、『復活のルルーシュ』の展開はご都合主義が過ぎます。旅先でばったり遭遇するC.C.&ルル、カレン&篠崎(おおまかな目的地が共通していたとはいえ)。戦闘になっても緊張感なく、特に死にそうな人が一人もいない味方陣営。オレンジたちをはじめ、これでもかと合流するかつての仲間たち。ルルーシュに倒されるためのお膳立てにしかなっていない教団の新たな敵。

 それでも、冒頭のC.C.とルルーシュの旅の様子や、カレンとC.C.のこれまで見たことがなかった距離感での絡み、異国での冒険、ちゃっかり良い感じに就職しているシュナイゼル、スザクやナナリーとの再会等々、頬が緩むシーンが連続します。そして極めつけは、やはりラストに訪れるC.C.のあの心からの笑顔。

 ここまでキャラクターが生き生きとしている「ギアス」にはここ10年お目にかかっていませんでした。そこは確かにその辺の二次創作と一線を画するところではあります。でも、ギアスに求めていたのは二次創作で満たせそうな欲望の延長にあるキャラクターの補完ではなく、もっと先の物語だった。そして「そんなものは無い」のだと教えてくれたのが、この『復活のルルーシュ』だったのだと思います。

 ここでいう「そんなものは無い」というのは、テレビ版を受けて、それを凌駕する物語が作られる可能性のことです。

 そして「if」を描くファンディスク的な新作としてであれば、『復活のルルーシュ』は120点の内容でした。ファンディスクである以上、最も幸せな世界線を描いてみせるのが最適解。その意味でシャーリーが生きている必然性も生まれます。また、今作は別モノであるという点で、最大限テレビシリーズを尊重した作りにもなっているわけです。

 『復活のルルーシュ』の鑑賞は楽しくも優しい夢のような時間であったと共に、コードギアス 反逆のルルーシュ』という無二の傑作が10年前に完結していたという現実を否応なく突きつけてくれました。