「ニンジャバットマン」ネタバレ感想 良い意味で期待通り

ブログを放置せずもっとカジュアルに更新していきたいのでニンジャバットマンの感想。

神風動画の名前を初めて意識したのはドラクエのOP。その後数年が経って『ジョジョ』と『ガッチャマンクラウズ』『ガッチャマンクラウズ インサイト』のOPでこれはすごいと思ったんですよね。そんなスタジオの初長編作で、しかも中島かずき脚本だったので期待して見に行きました。

DSで2009年に発売された『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』のOP
神風動画は最近でこそアニメのOPや『ポプテピピック』で知名度が上がってきたけど、普段はMVなどの短編を作る映像集団のイメージで、長編を手がけた際にきちんと形になるのかが読めなかった。

ニンジャバットマン」は予告編がとても良かったけど、それもこれまでのショートアニメの蓄積によるものかもしれず、予告は優れていても、映画としては微妙という可能性は十分にあると覚悟していました。……でも、楽しくあっというまの90分で拍子抜けでしたね。全編ビジュアルはもちろん、設定のおかしさと中島脚本の台詞回しを堪能できました。

『ニンジャバットマン』の最高な予告編

 

とはいえ手放しで100点満点の作品でもないです。ジョーカー&ハーレイ以外に5人もヴィランがいるせいで、毎度5人分紹介が入ったり、5回分見せ場を用意したりするのは段取り臭くみえたりもする。ただしそんなマイナス点を補って余りある、展開の良い意味でのばかばかしさや言葉遊びの妙があった。そして神風動画の絵作りが劇場作品一本分「持った」のがエライ。

グラフィニカの『楽園追放』が大好きなんですが、やはり量産品ではなく一点ものとして心血注いで作ってるのが伝わってくる作品は良いものです。

止め絵とスライドによる省力パートかと油断していたら始まった、ジョーカーとハーレイクインが“ファーマー”になる「牧歌パート」はさすがに笑いました。そして絶対大平晋也さんが参加してると思ったら、エンドクレジットに大平さんのお名前がなく「!?」っとなるという(後で確認したら原田慎之介名義で参加されてました)。

物語的にはバットマンジョーカーの最終決戦も良かったです。今作ではバットマンジョーカーのコインの裏表ともいうべき相思相愛的な関係性ではなく、むしろ両者の非対称性が際立っていたように感じます。
バットマンを殺そうとするジョーカーに対し、絶対に殺さないバットマンジョーカーの明らかな殺気が込められた刃を、バットマンは(刀は使うものの)基本的にはいなしつつ、打撃や投げ技でダメージを取っていました。ジョーカー役の高木さんの演技も相まって、「自分は殺せるが、バットマンは殺さない」といった趣旨のセリフは、ジョーカーがどこか儚げに見えました。
上記の言葉と、画的な刀&拳のやりとりがあったからこそ、最後にバートン版やノーラン版のパロディのごとく落下するジョーカーの笑い声も単なるパロディに見えませんでした。殺/不殺の非対称性が崩れ、バッツが同じ土俵に降りてきてくれた歓喜と、やっぱり殺せないのかとがっかりするジョーカーがかわいいかわいい。

まあこれは事前に持っていたキャラ愛を元にした解釈であって、映画単体で見るとどんな爆発に巻き込まれてもキャラは全然死なず、人が死なないのでは「殺/不殺」の対立構造も生まれ得ないので上記構図の強度も弱まる気がしますが。……でもキャラ愛を持って作られてるのが明らかなので、キャラ愛前提に解釈したくなる作品なんだよなー。

 

最後に話変わりますが、そろそろ中島脚本でもっと人がずばずば死ぬアニメが見たいんですよねーーー。やりすぎるとテレビ版『グレンラガン』の大グレン団の特攻っぽくなってしまうので、諸刃の剣だとは思うのですが。『キルラキル』は学園モノだったからそこはなかなかやれない部分でしたしねー。

今石監督との『プロメア』はかなり楽しみにしてます。そういえば中島さんの劇団☆新感線の舞台は全く見たことがないので、そろそろ見ておきたいなあ。