『メタルギアソリッド5』クリア感想

メタルギアソリッド5のメインストーリーをクリアしたのでちょっとだけ感想書きます。ネタバレを含みますので、クリアがまだの人はお気をつけください。

なお、僕自身メタルギアシリーズはリアルタイムで追ってきたわけではなく、『メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス(初代メタルギアソリッドゲームキューブ移植版)』を中盤までプレイしたくらい。『4』のプレイを友人宅で十数時間眺めていたことはありますが、あとはあらすじを大雑把に把握している程度であることは予め断っておきます。そうそう『ライジング』はクリアしてました。

スカルフェイスが良い味出してますね。ラストの情けなさも含めてかなりお気に入りのキャラになりました。「クックック、計画の全貌を教えてやろう!」と主人公を連れて行った先で秘密兵器が暴走して鉄柱の下敷きになるとか間抜け過ぎて愛らしいです。伊藤計劃じみた陰謀は魅力的でしたね。
伊藤計劃といえば、『ライジング』もスーツの描写などが相当『虐殺器官』っぽかったですが、こうしたインスパイアはどういった経緯で起こったのでしょう。小島監督と伊藤さんに交流があり、そもそも伊藤さんによるノベライズ版メタルギアが存在することも知ってはいるのですが。あるいは元ネタに当たる作品が別にあるとか?
 
作品評価としては、スカルフェイスを中心とした陰謀劇とヴェノム・スネークの正体に焦点を合わせていれば大傑作になり得たのに勿体無い!というのが率直なところです。そこは本当に勿体無い。
スカルフェイスを打倒する1章ラストの盛り上がりと、ヴェノム・スネークの正体が明らかになるラストミッションの盛り上がりはなかなかのものでした。ですがイーライ関連のエピソードはどれも唐突でしたし、「EP43 死してなおも輝く」は単体のエピソードとしてはなかなか良いにも関わらず、連続性のあるお話の中に組み込められてないように感じました。イーライ絡みのお話が完全に中に浮いた形で終わるので、ただでさえ唐突だったイーライが余計悪目立ちしてるように思えます。2章が水増しとしか思えない使い回しミッションの連続なのはイーライ絡みのミッションの完成が間に合わなかったためかと思われますが、構想通りの形で作られていれば、こうした不満も薄まっていたのだろうかと、そこは残念です。
もっと言えば、ラストミッションも唐突なのです。「EP43 死してなおも輝く」も「EP46 世界を売った男たちの真実」も、とても後日談的です。イーライ関連の話が片付いたあとに続くミッションとなっていれば、本当に印象が変わったかもしれません。
あとラストミッション、記憶の断片を回想するという演出にして、飛ばし飛ばしプレイさせる形にはできなかったんですかね。病院でのミッションは傑作だと思いますが、全く同じものをそのままなぞらせるのは見せ方としてどうかと思いました。
 
と、ここまで不満点を多く並べてしまいましたが、もっと面白かった点についても触れておかねば。とにかくホラー色が強いシーンの雰囲気は抜群に良かったですね。特に最初の病院でのミッションと、「EP20 声の工場」、「EP43 死してなおも輝く」は白眉。これでよくCEROのZ指定食らわなかったなと驚きました。プレイしていて『サイレントヒルズ』の開発中止が本当に残念に思えてきました。
また、自分の性格上、過去シリーズはスニーキングでのプレイは途中で飽きてきてしまい、投げ出してしまうことが多かったのですが、本作は中盤以降火力にものをいわせたゴリ押しプレイも可能で、無用なストレスを感じずに続けられて嬉しかったです。真面目に潜入するのも面白いし、ランボープレイも楽しいので、ゲーム部分は本当に素晴らしいの一言。
ただし、メインの遊び心地はともかく、ミッションスタートまでの段取りに不満があったのも事実……。いちいちヘリコプターを経由しての操作がなかなかフラストレーション溜まりました。あとはスカルズとの戦闘が面白くなかったのも大きな減点ですね。メタルギアといえばボス戦も目玉というイメージがありましたが、今作に関しては楽しいボス戦はこれと言って無く、むしろ苦痛を伴うものが多かったです。
 
ストーリーやキャラクター、ムード演出の魅力が突出しているだけに、つい不満点についてあれこれ言いたくなるゲームでした。賛否が起こっているヴェノム・スネークの正体に関してですが、プレイヤーの映し鏡とも解釈できるヴェノムの設定は結構気に入ってます。クリア後、つられて「The Man Who Sold the World」ポチってしまいました。