『京騒戯画』第1話は観なければならない


前回血の涙を流しながら以下の記事を書いた。
『京騒戯画』第0話は観なくてもいい - さめたパスタとぬるいコーラ
京騒戯画はずっと大好きだったので、シリーズの悪口を書くのは本当に辛かったが、0話を観て視聴を断念してしまう人がいるのであればそれを引き止めたかった。
0話で語られたのは、コト(釘宮)が鏡都に来てしばらく経った後の様子と、古都様(母)が帰還する場面。テレビシリーズで描かれるとすれば、中盤のクライマックスにでも相当する部分だろう。それをわざわざ1話の前に放送したのは、今考えても得策だったとは思えない。
しかし前回「あんな0話を流すくらいならweb第二弾で配信されたやつを流したほうがよかった」と書いたが、それも困難だったろうことは、今回アバン部分や次回予告の映像を観ていて分かった。web版の映像やエッセンスはテレビ版の本編でも散りばめられていて、0話の代わりに第二弾を流していたら、1話や2話でいきなり重複する部分が少なからず出ていたはずだ。
となるとやはり0話などというのを取っ払って、素直に1話から放送していればよかったのでは……と考えてしまうのだが、大人の事情もあるのだろう。分かったもうそれはどうでもいい。とにかく今言いたいのは、1話が素晴らしく良かったということだ。web第2弾の1話や5話は映像や演出の美しさだけで涙が出てくるほどだったので、そちらに比べると盛り上がりに欠けるような気もしたが、込み入った世界設定を説明しつつ、導入としての役割も果たしたという意味では素晴らしい1話だったと思う。
前回はBGM変更に関して散々悪く書いたが、今回は音楽も含めて非常に素晴らしかった。というか、テレビ版で音楽を担当されている椎名豪さんはweb第二弾からの続投で、あちらでも非常に良い仕事をされていたのだから、テレビ版でも本編になったらマッチするというのはある意味必然。前回のは色々な事情が組み合わさった末に起こった事故のようなもの。
 
今回特に切なくて良かったのが、古都様の設定と、明恵が子供時代から口説いてた女の子。
古都様は容姿と声から、もっと大人っぽいキャラを想像していたので、凄いギャップ。紙に描いたウサギが美少女として(あえて美女とは言わない)現前するとか、落ちものヒロイン系統のオタクの妄想を具現した何かを感じて非常に良い。自我を持って現れた二次元嫁が、相手の幸せを思って去ろうとするとか健気。でも夫はキモオタだから、残りの家族をすてて嫁と一緒に二次元の世界へ旅立ってしまう。俺はタイムトラベラーとなる!
明恵と一緒にいた女の子も可愛いですねー。可愛い。とにかく可愛い。外側だけ成長して中身は変わってないという明恵はオタクのメタファーとして父親の姿をなぞっているし、女の子は二次元キャラなので歳を取らないしエヴァの呪いですねー。父親は二次元嫁と別次元に飛んでいってしまいましたが、残された子供たちの方が二次元の呪いにかかってるし、俺が二次元で二次元が俺で感はある。二次元を覗きこむとき二次元もまた二次元を覗くのだってニーチェも言ってた。
 
そんな楽しくも行き止まり感ある世界に何か変化をもたらす予感を携えて、釘宮理恵(妹キャラ)が颯爽登場するというファンタジー。素晴らしいです。ちなみに花火が上がりまくってる空を見て、明恵が「俺はあの光を知っている、昔アイツと見たことがある。帰ってきたのか、上人」と言っていた。

上人というのは父親のことである。おそらく1話冒頭でコトが見せられていたビー玉を、明恵も幼いころに見せられていたのだろう。


ここはどこだと問うコトに、明恵は「鏡の都で“鏡都”だ」と答える。にんまり笑うコト。

彼女も育ての親である稲荷(=上人?)から、鏡の向こう側の世界の話を繰り返し聞いていた。彼女はその存在に対し懐疑的だったが、ここの笑顔はラピュタは本当にあったんだ感があって輝いている。この後コトは自分を「コト。第一平行軸中央、統合機関神社、宮司直轄部隊稲荷班。私保護者を探しに来たの」と名乗るが、人探しのために天も次元も突破してくるとは『フリクリ』のハル子さん感がある。
 
京騒戯画』のテレビシリーズは放送が始まる前の時点で最終話までのサブタイトルが判明してるのも面白い。なんとなくこんな話が来るのかな?と予想が立つ。が、話の予想が当たったとしても映像的な面白さがどんな風になっているかは蓋をあけているまで分からないのもまた良い。
京騒戯画とは (キョウソウギガとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
サブタイはリンク先に。ネタバレと言えばネタバレなので、まだ知りたくない人はご注意を。しかしこのニコニコ大百科の記事、随分と訓練された信者が書いてるな(笑)。
他にもAパートで町の人たちが上人のうわさ話をするシーンの演出が細田っぽいとか、OPが幾原っぽいとか色々語りたいことがあるけどとりあえず今回はそんなところで。幾原といえば、web第二弾の5話は特に幾原っぽかったなー。リンゴみたいなのかじってたし。汽車が出てきて銀河鉄道の夜だったし。
はーやーくーにーわーがーみーたーいー!!!