『ドラゴンボールZ 神と神』文句差し挟む隙無し


本日観てきました。リアルタイムで追っていたわけではないとはいえ、ドラゴンボールが幼少期のバイブルでしたから、観ないわけにはいかないのです。
観客は大なり小なりこれまでドラゴンボールに親しんだことのある人が殆どでしょうから、残念な内容の場合、上映終了後の場内微妙な雰囲気になることは必死。しかも21時から上映の回で観てきたものですから、周囲のお客さんは20代後半や30代以上が目立ち、思い入れも人一倍っぽい。
そんなわけで、上映前は大丈夫かなと不安半分でしたが、始まるなりそんなものは氷解。開始早々、予告編などでも紹介されている“破壊神・ビルス”なる新キャラクターが界王や界王神の上司的なポジションとして登場します。相手は気まぐれで星を破壊してしまう性格故、粗相のないように!と、悟空は界王様から再三注意を受けるのですが、その存在を知るなり、悟空のテンションは「そんな強えやつなら試合してみてぇ!」なのです。前回の劇場版の公開から17年過ぎてるのに、年齢的には三十過ぎのおっさんのはずなのに、思考は連載当時ワクワクさせてくれた時のまま!導入から圧倒的安心感で観ることができました。
ストーリーが深刻になり過ぎないのも鳥山明テイストが出てて◎。ピラフ大王一行のコメディパートなんかは作品にバラエティを持たせていて良かったなあ。途中で五輪柔道金メダリストの松本薫さんがゲストキャラとして出てくるんですが、お世辞にも演技がうまいとは言えず、シーンとしてもめちゃくちゃ浮いてるのに、作品単位で見た場合には許容できてしまうというゆるさは、鳥山作品ならではかなと。
映像面も良かったです。鳥山明デザインのドラゴンボール的未来都市がCGで構築されていて、その中を縦横無尽に飛び回りながら戦闘繰り広げる影像などは、当時観たくても観れなかったもの。他にもキャラをCGにしてるっぽいカットがあったり、一部野心的な影像あり。ただ、ラスト付近のバトルをハイテンションな作画で押し切ってくれたのは、ありがとう東映!という感じです。冒頭で悟空の変わらないあたまカラっぽ感を見せてからの、終盤の悟空&ベジータの描写も効いてました。……いや、ベジータは良いキャラですね、ほんと。ベジータ萌えとしても最上の部類に入る映画なのではないでしょうか。
興行的にも大成功のようですし、これだけ原作愛に溢れた映画化ならこれが最後と言わずまたやって欲しいなとも思いました。ただそうそう実現する企画でも無いでしょうし、エンディングではしんみり。……そうそう、当初主題歌の「CHA-LA HEAD-CHA-LA」をFLOWが歌うと聞いたときは良い印象持ちませんでしたが、実際聴いてみるとこれがとっても良い。原曲よりポップでアップテンポなアレンジとなっているのですが、映画のテンションにピタリはまってました。
要所で原作を知らない人へのフォローがあったり、誰でも楽しめる内容になってると思います。少しでも興味がある人は劇場へ是非。個人的には鳥山先生のインタビューが載っているというパンフを買い忘れたことだけが残念(笑)。映画館に通りがかったらパンフだけでも買っておかねば。
 
 
 
 
 
  
もう一〜二点、ネタバレになるので本文から離して書きますが……。
 
 
 
 
ブルマが叩かれてベジータが怒るシーン自体、単純に燃える展開で良かったのですが、ラストでビルスが叩いたことを謝罪するシーンも配慮が行き届いた脚本になっていて素晴らしかったです。ブルマを殴っておいて、地球を壊さないでおいてあげたから感謝しろよ!ってのでは後味悪いですから。ブルマが直接詰め寄って謝罪を要求するという流れもキャラの性格が出ていて良かったですしね。
弾いた銃弾が嫁に当って負傷してるのに、治療要員のおかげで即完治したし、まあ良いか!とか、パワーアップのためなら胎児のエネルギーも容赦なく利用する!みたいな、妙に倫理観のタガが外れている感じもドラゴンボールっぽくて面白かったです。