『ファイナル・ジャッジメント』を100倍楽しむ方法

6月2日公開!巷で話題沸騰!大ヒット間違いなし!今世紀最大級のカタストロフ!な映画

『ファイナル・ジャッジメント

ですが、今回はその『ファイナル・ジャッジメント』を百倍楽しむための方法をご紹介します。その方法とは、ある映画作品を事前に観て(知って)おく事です。
さて、皆さんは「2009年夏のアニメ映画」と言われてまず何を思い浮かべるでしょう。5割ほどの人が今秋の続編公開が待たれる『エヴァ破』を連想したはずです。1割ほどはホッタラケの島を思い出したかもしれませんね。では、残る四割は?・・・もったいぶるまでもないですね。多くの人の記憶に鮮烈に刻み込まれているはずです。あの刺激的なストーリィや、素晴らしい主題歌が。
そう、仏陀再誕』です。

仏陀再誕』予告編

主題歌:「悟りにチャレンジ

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破壊屋_仏陀再誕
超映画批評『仏陀再誕』25点(100点満点中)

 
仏陀再誕』が公開初週の興行収入ランキングで堂々第二位をマークしたニュースを未だ記憶している方も多いはずです。

備考
幸福の科学の「仏陀再誕」興行動員数が第2位wwwwwww(ゴールデンタイムズ)
http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51347687.html

適当にググってみましたが、どうやら最終的な興行収入は8.6億だった模様。これがどれくらい凄いかというと、

涼宮ハルヒの消失」8.5億
機動戦士ガンダム00」8.5億
劇場版マクロスF 恋離飛翼」7.0億
劇場版マクロスF 虚空歌姫」6.5億
鋼の錬金術師〜嘆きの丘の聖なる星〜」5.7億

売上ライン一覧 - アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ@wiki - アットウィキ

これくらい凄いのです。まさに神アニメ…否、仏アニメですね。
 
では本題の、なぜ『ファイナル・ジャッジメント』を観る前に『仏陀再誕』を押さえておく必要があるのか?についてです。確かに『仏陀再誕』は『ファイナル・ジャッジメント』前に公開された、幸福の科学製映画としては直近の作品にあたります。しかし「実写映画」と「アニメ映画」という違いを考慮すれば、『仏陀再誕』は『ファイナル・ジャッジメント』よりはむしろ、10月に公開予定の幸福の科学製アニメ映画『神秘の法』の予習として観るべきと捉える向きがあってもおかしくないはずです。

映画『ファイナル・ジャッジメント』『神秘の法』速報

ところがこの考えには大きな落とし穴があります。実は仏陀再誕』と『ファイナル・ジャッジメント』には、『神秘の法』では未参加のある人物が中心スタッフとして関わっているのです。
その人物とはズバリ、大川宏洋(エル・カンターレの息子)です。
彼は大学時代、若干二十歳で『仏陀再誕』に企画・脚本として参加し、今回の『ファイナル・ジャッジメント』では未だ23歳の若さでありながら企画・プロジェクトリーダーとしてスタッフの中核として参加しているのです。
さて、これからさらに詳しく『仏陀再誕』と『ファイナル・ジャッジメント』の比較をしていきたいと思うのですが、その前に大川宏洋氏についてもう少し知っておいてもらう必要があります。以下に『仏陀再誕』のパンフレットに掲載されていた、大川宏洋氏と監督の石山タカ明氏の対談記事より一部引用しましたので、ちょっと読んでいただけますでしょうか。
 

■超豪華な声優陣に感激
 
石山 声優さんたちも、「この人たちしかいない」という感じで、素晴らしい方々に勢揃いしていただきましたね。
大川 想像を超えちゃうはまり方でしたね。小夜子役の小清水さんと勇気役の吉野さんについては、僕もオーディションに立ち会ったんですが、そのときに「あ、この人しかいないな」と。とくに小清水さんの作品は、コードギアスとか狼と香辛料など、たくさん観ているので。
石山 小清水さんは、自分に近い等身大に演じることができ、「非常に楽しんでやれた」と、喜んでいましたよ。
大川 そうですか。木村真理役の三石琴乃さんも素晴らしかったですね。僕の大好きなエヴァンゲリオンミサトさんのイメージがすごく強かったんですが、ほんとに出ていただけてびっくりです。冒頭の山田先生役の島本須美さんも、まさか、まさか、ですよね。やっぱり、監督の力ですね。
 
大川宏洋 プロフィール:1989年東京都生まれ。大学生。幸福の科学総裁室長。趣味はアニメ鑑賞やベースギター演奏など。本作品で、企画・脚本に初挑戦。
映画『仏陀再誕』パンフより  ※強調は引用者による

 
・・・・・・えっと・・・、失礼ですけど、 大川宏洋さんただのアニオタじゃね?趣味が「ベースギター演奏」なのも『けいおん!』の影響なんじゃ。
この点に気づくと、ただでさえ面白かった『仏陀再誕』に新たな面白さが加わります。僕が知る限り『仏陀再誕』の最も有名な感想記事は、このエントリの冒頭でも挙げた「超映画批評」さんや「破壊屋」さんの記事ですが、これらの記事でさえ、その点を見落としているように思えます。ひとまず破壊屋さんの記事の冒頭部分を以下に引用します。『仏陀再誕』見所を端的に紹介してくれています。
 

幸福の科学創価学会が超能力で大決戦を繰り広げる娯楽大作アニメ『仏陀再誕』を観た!
仏陀再誕』を観れば、幸福の科学の信者は「大川隆法総裁が正しかったんだ!」と喜び、創価学会の信者たちは「この映画に出てくる悪の宗教家って、池田大作先生じゃなくて大川隆法だよ!」と爆笑し、どっちでもない人は「大川隆法池田大作が戦っているよ!すげえぜ!」と感動のあまり泣き出すだろう(泣くよね?)。宗教的にはまったくバランスが取れていないにも関わらず誰も傷つかない素敵な映画です!

破壊屋_仏陀再誕

 
この紹介は99%が的を射ていると思います。残りの1%も「間違っている」わけではなく、「足りない」だけです。その足りない部分こそ、我らが「大川宏洋」なのです。
破壊屋さんは「超能力で大決戦を繰り広げる娯楽大作アニメ」と書いていましたが、実は重要なのは、「大決戦」に含まれる政治的、宗教的ニュアンスだけではなく、娯楽要素の描かれ方そのものだということです。表面的な娯楽性自体に大川宏洋の作家性が宿っていたのです。
本編を見たのに記憶が薄れてしまったという方や、そもそも本編なんて見てないよという方のためにも、ここは一旦検証作業ということで、少し本編のカットを見て頂くことにしましょう。
 

■めくるめく大川宏洋の世界 (妄想120%)*1
上の画像が『仏陀再誕』のキャプ、後に続くのが元ネタと思しき作品の画像です




 



イケてるお姉さんキャラ(CVはどちらも三石琴乃
→元ネタ:『エヴァ』のミサトさん




怪しい日本語の外国人キャラ
→元ネタ:カブトボーグのロイドさん




悪の組織の委員会
→元ネタ:『エヴァ




セフィロトの樹
→元ネタ:『エヴァ』・『攻殻機動隊




敵の攻撃を颯爽と防いでくれる救世主
→元ネタ:『東のエデン




ハンターハンター』の四大行みたいな図を用いて世界の法則を説明しだす主人公の彼氏
→元ネタ:『ハンターハンター』・『ナルト』




演説シーン。勿論語られている内容は180度違うが、演説時間は仏陀が5分、少佐が6分とかなり肉薄している
→元ネタ:『ヘルシング




映画のクライマックス、仏陀卍解して戦う
→元ネタ:『ブリーチ』




ロイドさんが超能力で吹き飛ばされ、壁に球状のへこみができる
→元ネタ:『童夢




卍解前の格好良いポーズ
→元ネタ:『仮面ライダー




像を召喚して戦う仏陀。オーバーソウル!
→元ネタ『シャーマンキング




夜空を彩る花
→元ネタ『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』




覚醒して翼が生える
→元ネタ:『デビルマン』・『エヴァ

本人がインタビューで語っている通り、思い入れたっぷりな小清水さんをヒロイン役に据えた上、ミサトさんっぽいキャラにそのまま三石さんを起用する大胆なキャスティング。喋ってるだけでなんだか面白いCVが子安さんの仏陀。UFOによる街の爆撃は特撮や『エヴァ』っぽいし、夜空に蓮の花が浮かんでるのは『劇場版ウテナ』。このように『仏陀再誕』における娯楽的要素には、実に多くのアニメ・マンガ作品へのリスペクトが見受けられるのです。そしてそこにこそ大川宏洋の感性(アニメ・マンガ等のサブカル要素の詰め合わせ)が散りばめられているように思えます。二十歳そこそこで莫大な予算ともろもろのキャスティング権を意のままにできたというのは本当に稀有な例と言えましょう。実に羨まけしからん話です。
 
そんな大川宏洋の最新作が、『ファイナルジャッジメントなのです。
では、ここまでの話を踏まえた上で再度予告編を見てみましょう。

 
ね?『エヴァ』で『ギアス』で『パトレイバー』な何かに見えてくるでしょ?

■めくるめく大川宏洋の世界 Part2 (妄想150%)




空を埋め尽くすヘリコプター
→元ネタ:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破





ビルとヘリコプター
→元ネタ:『パトレイバー2




軍の統治下に置かれる「平和」な都市
→元ネタ:『パトレイバー2




やたら重装備な兵隊
→元ネタ:『人狼

また、こちらの映像にはこんな露骨なカットも(3分35秒あたり)





雨の中こぶしを握りしめる
→元ネタ:『マトリックス レボリューションズ

 
どうでしょう、これで『ファイナル・ジャッジメント』の楽しむべきポイントが分かって頂けたでしょうか。数分間の予告映像だけでもこれだけの小ネタが見つかったのですから、本編にはきっとこの他にもまだアニメ・マンガネタが散りばめられまくっているに違いありません。
これから映画を観られる方は是非、作品に込められた深遠なメッセージを読み取ろうとするだけでなく、こうした大川宏洋さんの作家性にも注目してみてはいかがでしょうか。また、『仏陀再誕』をまだご覧になったことがないという方は是非この機会にそちらも観てみてください。そんじょそこらのネタアニメがダース単位でかかろうと相手にならない世紀末なの逸品です。
そして『ファイナル・ジャッジメント』は明日、6月2日公開です。
 
・・・え?僕ですか?
明日は『ファイナル・ジャッジメント』の公開日ですが、とりあえず僕は『BLOOD-C The Last Dark』を観てこようと思います。
 
 

追記
『ファイナル・ジャッジメント』本編鑑賞後の感想エントリをアップしまいた
『ファイナル・ジャッジメント』サイコー!(布教) - さめたパスタとぬるいコーラ

*1:エントリ内では「元ネタ」として特定の作品を挙げていますが、それらはあくまで便宜上のものです。本気でそう感じたものもあれば、ネタ半分のもの。当たっているものもあれば、全くの見当違いなものもあるはずです。