アニメ感想

『メアリと魔女の花』感想 本当に“いらない”のか? 大きな主語に違和感を覚えたという話

「大丈夫。“ここ”ではあなたは、もともとそういう顔なのです。あなたの声やスタイル、それから細かいことを言えば指紋などもおそらくほんの少しだけ変化している。しかし“ここ”は、もともとあなたがそういう特徴をもつ人間だった世界なのです。厳密に言えば…

『夜明け告げるルーのうた』ネタバレ感想 情緒不安定の裏側

2回観てきました。オープニングとラストのクライマックスがあまりに素晴らしい。 作品内容がそうであるように主人公・カイが情緒不安定気味ですが、2回目でやっと感情の流れが多少整理できた気がします。「みんな - わたし - あなた」の距離感を、裏主人公と…

『龍の歯医者』前後編感想 龍と歯医者って感じじゃなくて

BSプレミアムで放送された『龍の歯医者』。人間の力ではどうにもならないように見える超自然現象を前に、それでもやりたいこととやるべきことをやろうともがく登場人物たちに胸打たれました。舞城王太郎が原案ですが、共同脚本の榎戸洋司作品の「いつか訪れ…

『君の名は。』感想 夢の残骸の眼差し

『君の名は。』観てきました。隣に座ってたペアが30秒おきに喋るので、耐え切れずに10分で劇場を出て、その足で別の劇場に向かい観てきました。『シン・ゴジラ』(3回目)を品川IMAXで鑑賞した際には、隣に座ってた女性がゴジラが登場するたびに猫ひろしの「…

アニメ『文豪ストレイドッグス』1、2話感想 あたりまえのように朝を迎えるということ

アニメ『文豪ストレイドッグス』が面白いです。主に原作との差異に着目して感想を書いてみます。 まず1話目。いきなり川辺で体育座りをしている主人公の敦。終盤でも同様に、自らの殻に閉じこもるようにうずくまる姿が見られました。 孤児院を回想するシーン…

シナリオ都合で言動の変わる『Re:ゼロから始める異世界生活』の主人公を見て『ヱヴァQ』のシンジを思い出した

『Re:ゼロから始める異世界生活』の1話を観ました。絵作りは頑張っているし、要所での残虐描写もピリっとアクセントになっていて楽しいです。ただわりと指摘されているように、前半で主人公が異世界転生をメタ視点で分析する察しの良い言動だったのが、ルー…

『リトルプリンス 星の王子さまと私』感想 王子くんに会えたあかし

めちゃくちゃ良かったです。終盤で少女が家をぬけ出してからの展開の素晴らしさに比べると、中盤までが比較的平凡ですが、ラストが素晴らし過ぎました。 わりと思い入れのある原作だったので、オリジナル要素が入るのは若干不安でしたが、原作を活かしつつ新…

映画『ハーモニー』感想:なかむら監督版として好意的に見れる部分もある

ところどころ意欲的なだけに、勿体無い映画だと思いました。致命的と感じたのが、ミァハとトァンが痛い中二病患者にしか見えなかったこと。 原作では社会システムの不条理さが皮肉交じりに描写されますが、映画版ではそれが影を潜めているため、彼女らの社会…

細田守は嘘をつく:『おおかみこどもの雨と雪』感想

『バケモノの子』があまりに『サマーウォーズ』で感じたガッカリを思い起こさせる内容だったため、3年ぶりに観た『おおかみこどもの雨と雪』の感想を書く。『おおかみこども』は『サマーウォーズ』や『バケモノの子』に比べ、話の筋がすっきりまとまっている…

アニメーター見本市『I can Friday by day!』感想:通信兵は何に涙したのか

アニメーター見本市の『I can Friday by day!』が公開されました。監督が鶴巻さん、原案・脚本がウエダハジメさん、キャラ原案に竹さん、キャラデ作監にすしおさん。なんだこの豪華スタッフ。キャラクターや小物のデザイン、メカニック、質感、色味、どこを…

『ドラゴンボールZ 復活の「F」』感想。作劇は終わってたけど楽しめました

『ドラゴンボールZ 復活の「F」』を観てまいりました。 ネタバレ感想ですので、本編未見でまっさらな状態でご覧になりたい方はご注意ください。 前作『神と神』はお気に入りで、劇場に2度観に行ったほどだったのですが、今回は話運びが酷いですね。前日に知…

ようこそアニメのミライ(地獄)へ。『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』1話感想

近年稀に見るやっちまったな感! 個人的には、神山健治監督版ニンジャスレイヤーを切望する声を出版やアニメのえらい人達にきちんと届けられなかった視聴者側にも責任があるのでは? と、思っています。みんなも見たかったよね、神山版ニンジャスレイヤー。…

血界戦線のアニメが面白すぎて毎日が楽しい

血界戦線のアニメが始まりました。 元々原作ファンでテレビアニメ化は悲願でしたが、絵的に重たくなるのが自明ということもあり、半ば夢物語としてアニメ化することを願い続けておりました。 『血界戦線』ボンズでアニメ化されないかなー(願望)2014-04-07 …

『シドニアの騎士』テレビアニメ版感想

『シドニアの騎士』のテレビアニメ版を一気に観ました。原作未読。 主人公の戦うモチベーションが何なのか最後までピンとこなかったというのが正直なところ。反撃しなければ全滅させられる極限状態なのは分かるのですが、主人公の私的な動機が見えず、それほ…

『ユリ熊嵐』1話先行上映行ってきた

ユリ熊嵐の1話先行上映に行ってきました。 チケット自体は最初の抽選で確保できていたものの、直前まで他の予定との兼ね合いで行けるかどうかが分からず、なかなか胃の痛い日々を強いられておりました。 入場者プレゼントのメモ帳。会場内では「ユリ承認」ス…

アンノファイト!「庵野秀明の世界 アニメーター・庵野秀明」レポ

東京国際映画祭で行われた「庵野秀明の世界 アニメーター・庵野秀明」の抽選に当たり、ウキウキで行ってきたのでレポ。 入場時には初号機がお出迎え。 でかい庵野監督ポスターがあって吹く。 お馴染み、庵野さんのキングのサイン。 今回の企画「アニメーター…

『新劇場版 頭文字D Legend1 覚醒』感想

長年人気を博してきたテレビ・OVAシリーズが既に存在しているにも関わらず、リメイク版を作る意義はどこにあるのか。通常であれば真っ先に抱く疑問だが、この「新劇場版」シリーズは以下のPVの公開と共に制作が発表され、予めそうした茶々を入れる余地が阻ま…

『ガンダム Gのレコンギスタ』 1〜3話を観ての所感

同日劇場で観た『頭文字D』はカップルで観に来てる観客も結構いたが、こちらは圧倒的男性率。いや、『頭文字D』も単独の女性客は見かけなかったけど……。以前『ガンダムUC』を劇場で観た際にも衝撃を受けたが、本当に男性客ばかり。帰り際に観客席を見渡して…

永遠ってなんですか? 『キャプテンアース』10話が描いた“ふたつの永遠”

ウテナ「隣に棺が並んでるでしょ。お父さんとお母さん、今日死んじゃったの。 でね、棺が一個余ってたの。これって、きっとあたしの分なの。 生きてるのって、なんか気持ち悪いよね」 冬芽「そう」 ウテナ「うん。気持ち悪いよ。どうせ死んじゃうのに、どう…

痛さは強さだ!『キャプテンアース』9話感想

キャプテンアース9話のアカリとアイの対比がとても良かった。 まずAパートにおいて、アイが気弱で、「アイドルとしての自分」に不安と依存を併せ持っていることが示される。 普段は自分に自信が無く、内気なアイにとって、アイドルを演じることは苦痛である…

パッチワーク上等!キルラキル最終話感想

5話などでは面白さのためだけに感涙したりもしたが、シリーズを通してみると必ずしもテンションマックスで観続けられたわけではない。様々な魅力に溢れた作品であったことは決して否定しないものの、これが本当に過去のどの今石×中島作品よりも好きか!?と…

今年映画館で観た映画

年末ですね。ブログ放置気味の今日このごろですが、生存報告もかねて更新しておきます。 これといって書きたいものもないので、今年映画館で観た映画の一覧をだらっとまとめておきます。アニメ→実写の順。お気に入りは赤。基本的に上映日順ですが、イベント…

『まどか』叛逆の物語 感想

観てきました。面白かったですねー! 僕が行ってきた新宿バルトナインではメインキャストのサイン入りポスターが展示されてました。 過去何度か書いてると思いますが、僕は熱心な『まどか』ファンではありません。同時期に放送されていた『フラクタル』や『…

『京騒戯画』3話感想 後付けのチート性/ウサギ人形とPSP型リモコン

■構成の妙 昨晩放送された3話では、Web配信版第2弾2話「ショーコ、科学者慌て窮す」におけるショーコ博士を中心としたドタバタ劇に、テレビ版からの要素として、鞍馬のドラマが付加されていた。 何よりも面白いのは、ショーコや伏見(ショーコの部下)を中心…

“やり直す系アニメ”の系譜 - 勝つまで槍る!『ヱヴァQ』から『安堂ロイド』まで

“やり直す系アニメ”の激増 ― 『ヱヴァQ』、『ハーロック』、『009』、『ガッチャマンクラウズ』 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』以降、「やり直す」ことを物語の主軸に組み込んだアニメが増加の一途をたどっている。*1 『ヱヴァQ』では主人公・シンジは過去…

『京騒戯画』第1話は観なければならない

前回血の涙を流しながら以下の記事を書いた。 『京騒戯画』第0話は観なくてもいい - さめたパスタとぬるいコーラ 京騒戯画はずっと大好きだったので、シリーズの悪口を書くのは本当に辛かったが、0話を観て視聴を断念してしまう人がいるのであればそれを引き…

『メガネブ!』がおそらくやばい

とりあえず落ち着いてこいつを見て欲しい。 2011年に発売されたOVA作品『この男子、宇宙人と戦えます。』の予告編である。 なぜ今どきこんなセカイ系っぽいセカイ系が作られたのかという疑問。そして、なぜこんな面白そうな逸材が今まで自分のアンテナに引っ…

『京騒戯画』第0話は観なくてもいい

秋アニメ『京騒戯画』の放送が始まった。昨夜放送された第0話は“予習篇”と銘打たれている通り、以前ネット配信されたエピソードの再放送的な意味合いが強い。2011年に数十秒の予告を目にして以来の京騒戯画ファンで、1年以上PCの壁紙がハンマーを背負ったコ…

『ガッチャマンクラウズ』 オフ会シーンから見るはじめと清音の対比

はじめちゃんについて一点、言及してる人が見当たらなかったのでメモがてらさくっと書いておきます。2話のオフ会でさり気なく描かれた清音との対比について。 まず、多くの人が既に指摘している通り、はじめは価値観の多様性を是とする子です。そうした面は3…

正義が危うい『ガッチャマン クラウズ』 3話まで感想

今期一番楽しみに見ている『ガッチャマン クラウズ』。監督は中村健治。スタッフを見渡すと中村監督の過去作に参加経験のある面子が多く、スタッフ間で意思疎通がうまくいってるあたりが、今作の一見奇抜に見えて骨子がしっかりしている印象に繋がってるのか…